国境越えた個人向け人民元決済業務 年内にも実施か (2)
その一方で、個人向け人民元決済業務の発展は相対的に遅れている。また政策により個人が一年間に両替できる金額は米ドル換算で5万ドルまでと規定されている。12年下半期に広東省で個人向け人民元決済業務が試験的に始まり、大陸部住民が個人の名義で人民元建ての送金を行うことが認められ、これまでのように米ドルに両替してから送金するという手間がなくなった。同省広州市における個人による人民元送金の試行をめぐる規定によると、個人が一年間に送金できる金額は30万元までで、5万ドルとほぼ同額だ。
新しい規定でこの限度額が引き上げ調整されるかどうかに各界の注目が集まっている。だが多くの業界関係者はそれほど大幅な調整は行われないとの見方を示す。
郭副司長は次のように明かす。現在、同省義烏市でもテスト事業が行われており、テストの経験を総括した後に全国規模での実施にコマを進めることができるという。テスト事業の内容には、人民元建て資本収支の両替政策における制限の緩和、人民元建ての決済や輸出税還付などの政策の実施、より多くの企業が人民元を輸出入や中継貿易の決済手段とするための誘導、人民元をアジア、アフリカ、中南米の国・地域における決済・投資の通貨とすることなどが含まれる。
▽決済プラットフォームの建設を加速
同省深セン市にある電子製品の対外貿易企業の関連部門の責任者は、「個人向けの国境を越えた人民元建て決済は、中国の金融機関の決済能力により高い要求をつきつけるものだ。中国資本の金融機関が人民元建て決済業務を引き受ける能力があるかどうかみなくてはならない」と話す。
注目すべきは、中国資本の銀行が目下、国境を越えた人民元建て決済プラットフォームの建設を加速させていることだ。米会計事務所大手デロイト・トウシュ・トーマツの中国法人金融サービス業部門の王鵬程主管パートナーは、「2013年には人民元の国際化プロセスが加速的に発展し、国境を越えた人民元建て決済の量が引き続き急速な伸びを維持し、人民元オフショア市場の規模とレベルがさらに拡大し深化する見込みだ。中国資本銀行は引き続き海外機関ネットワークの建設を安定的に推進すると同時に、海外でのM&Aを引き続き慎重に進めていくとみられる」と話す。
王氏によると、海外業務の現地化レベルの向上の面では、多くの中国資本銀行がリテール業務の営業許可証を取得して、引き続き所在国の市場への浸透をはかる見込みという。