野田政権が幕を閉じる前に「ポスト小泉」の日本政治の特徴を見る (3)
(3)安倍、福田両首相が相次ぎ遁走
3人とも権勢のある家柄の出身で、「2世」「X世」の世襲議員の代表的人物だ。最初に首相の玉座につき、徒にタカ派の姿勢を見せたが未熟さの抜けなかった安倍晋三氏を「坊ちゃん首相」とするなら、その気があるのにないような素振りを見せて首相の座についた福田康夫氏は掛け値なしの「旦那様首相」と言える。両氏が共通して直面したのは、打つ手のない国内経済の問題をどう解決するかと、国政選挙にどう対処するかだ。彼らが最も憂慮したのは有権者の審判と、最大野党・民主党の対抗と挑戦だ。野心満々で「美しい国」を築くと大言壮語した安倍氏は参院選で大敗し、引責辞任するのが当然なのにゲームのルールに従い退陣することを拒んだ。だが内閣改造後、こっそり病院へ逃げて「病気」と称して辞任。最終的に「無責任な首相」と呼ばれる不名誉を被った。
後任の福田首相は感情を表に出さず、政権引き継ぎから1年後には「健康に問題はない」とも言ったが、「自分自身を客観的に見ることができる」と「身の程をわきまえている」を口実に、安倍氏と同様、慌てて遁走した。タイプの異なる2人の首相が相次いで政権を放棄して、さっさと逃げた。これは権力闘争の非常に激しい自民党の歴史においても前代未聞のことだ。これによって世襲議員の本質と日本の政治構造の弊害が余すところなく暴露された。