中国人なら生涯を通じて正座をすることはほぼないだろう。しかし、日本で生活するとなれば、正座をする機会が多くなる。日本ではどのような時に正座をするのだろう?例えば、お客さんと玄関で話をする時は、お客さんが立っているのに対し、家の人は正座をしていることが多い。もし、畳の部屋で話をする時となれば、もちろん正座だ。日本のちゃぶ台の脚は通常、約30センチで、正座以外の座り方なら、くだけているように見えるため、背筋が伸びる正座がふさわしいのだ。外食の時も、もしちゃぶ台であれば、座布団の上で正座となる。長時間正座をしていると、足がしびれ、男性なら足を延ばして少しリラックスするが、教養ある女性なら、正座を崩すことはない。広州日報が報じた。
昔、日本人は着物を着ていた。男性用の着物は裾がゆったりしているが、女性用はどんな時も着くずれが許されない。そのため、女性は小股で歩かなければならず、座る時は正座となる。そのようにして、着物のきれいな状態を保つことができる。
日本で、正座は座り方の中で最も正しい座り方。正座をするためには、まず始めに床にひざまずき、臀部をかかとの上に載せ跪座(きざ)となり、次に足を伸ばして、臀部の下にかかとがくるようにする。男性はわずかにひざを開け、女性はひざを閉じて座る。正座は脚を痺れさせ血流を妨げることから、脚の発育に悪影響を及ぼすともされているが、メリットも多い。例えば、二重あごや下腹の改善につながると言われている。
初めて日本を訪問する外国人にとって、正座は相当つらいだろう。長時間となると、まるで拷問のような気分となる。長時間正座をしていると、膝が麻痺し、左右に動かしたくなる。その状態はとても苦痛で、他の人から見ると、まるでかゆい所に手が届かないようなこっけいな姿となる。しかし、外国人にとって、正しく正座ができるかは、日本の文化に溶け込んでいるかを測る尺度となる。フランス語では、外国人が長い間日本に暮らすうちに日本の習慣に同化することを「畳の上の暮らし」を表す「タタミゼ」というほどだ。
筆者の高校は、中国の姉妹高校との交流があり、茶道室にゲストを招き、茶道で迎える。ある時、がっちりとした体格の男性教師4人と女子高生5人が訪問し、正座で茶道の作法を楽しんでいた。しかし、男性教師4人は正座をしていなかった。その理由は、中国には「男性にはプライドがある」ということわざがあるからではなく、全員40歳を超え、膝を曲げるのが困難だったからだ。そのため、茶道の先生がわざわざ椅子を用意し、作法に背くにもかかわらず、椅子に座ってお茶を飲んでもらっていた。一方、女子高生5人は、日本の学生に習い、正座をしていたが、立ちあがる時は、しびれ切っており、苦痛の表情を浮かべていた。
筆者は日本に来て半年ほどした時に、出産のため入院した。あの時は日本語が話せなかったため、院長がオーストラリア人に留学した帰国した若い看護婦が、時間が空いた時に英語でおしゃべりできるよう取り計らってくれた。その看護婦は背が高く、筆者と話す時はいつもベッドの上で正座していた。申し訳なく感じ、「立って話してください」というと、その看護婦は「私の視線は患者さんより低くなければならない」とほほ笑みながら語った。日本人が正座をするのには、伝統や立ち振る舞い以外に、その理由があったのだ。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年4月17日