|
村上春樹氏と莫言氏 |
人民網:文学交流は中日関係においてどんな役割を果たすか?
毛教授:文学交流は人と人の感情における距離を縮め、好感を高めるため、非常に重要な役割を果たす。文学は人を中心にしており、私は、中国は現代文学をソフトパワーの発展の起点と見なすべきだと思う。うわべだけの交流ではなく、本当の意味での文学家同士の交流が増えていくのはとてもいいこと。自分の生徒に教える際、私は教科書に載っていることだけを教えるという教育方法を取ってはいない。私は、生徒が外に出て、1つのものを本当の意味で理解することを願っている。
私は昨年より、日本の文化やライフスタイルなどを紹介する中国の日本専門雑誌「知日」の主筆を務めている。編集チームは北京にいる。同誌の出版の話があった当時、日本のことを知りたいと思う若者がたくさんいたものの、中国国内には日本を専門に紹介、研究、観察している雑誌はまだなかった。それで、主筆を引き受けたが、作風はこれまで通り、政治には関与しない、純文化作品。「知日」という2文字を縦にすると、「智」という中国語で知恵を意味する漢字になる。つまり、「日本を知る者は知恵がある」という意味が込められており、自分達の知恵を向上させるために、中国の若者が本当の意味で日本を知り、観察してほしいということだ。
人民網:莫氏とノーベル文学賞を争った作家・村上春樹氏をどのように評価しているか?
毛教授:村上春樹氏の作品も大好きだ。私が今暮らしている神戸は、村上氏が若い時に19年暮らした場所。彼が通った小学校、行ったことのある病院、野球場、公園、図書館などが周囲にある。彼が小説の中で描いている情景から、私はあるものを見つけた。子供のころ牛を飼っていた莫氏は「牛」と題する小説を書いた。一方の村上氏は羊を取り上げるのが好きだ。
その理由は小学生のころに学校であったイベントに羊が関係していたから。つまり、子供のころの記憶が1人の作家に与える力が大きさを、私は知ったのだ。莫氏自身も以前、「記憶は資源を提供する宝庫のようなもの」と言っていたことがあるが、村上氏も同じだ。私は、莫氏が牛について語り、村上氏が羊について語る、こんな交流を企画してみたい。このような、これまでにもあった大江健三郎氏と莫氏のような交流が実現すれば、文学家は必ず新たな情景をつかみ、すばらしい発想がいろいろ生まれるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2012年11月23日
[1] [2]
毛丹青氏独占取材(1)莫言氏と大江健三郎氏の交流をプロデュース
毛丹青氏独占取材(2)莫言とその作品
毛丹青氏独占取材(4)「日本を知るために力を尽くしてきた」