中国の周辺外交の難しさはどこにあるか?
【中日対訳】 先日の東アジア首脳会議で、フィリピンは再び南中国海係争を挑発した。これと同時にオバマ大統領もミャンマー、タイ両国を仰々しく訪問し、アウンサンスーチー氏、インラック首相との親密さを大いにアピールして、メディアから「いちゃいちゃ外交」と揶揄された。両件を結びつけて見ると、中国が「自らの発展が周辺国により良く恩恵をもたらすよう努力する」との目標を実現するのは少なからず難しいことが、ある程度浮かび上がってくる。(文:宋栄華・外交学院客員教授。広州日報掲載)
■難しさ1:環境の複雑さ
中国は全ての大国の中で最も複雑な周辺環境を抱えていると言える。隣国が多く、問題はさらに多い。歴史の残した国境・領土・海洋権益紛争があれば、上流・下流の水資源の利用といった新しい問題もあり、国家間の摩擦もあれば、過激派や麻薬密輸犯罪集団による新しい試練もある。域内の摩擦もあれば、懸命にかく乱して、うまい汁を吸おうとする域外勢力もある。こうした複雑な環境が周辺戦略の策定と実施の難度を増している。
■難しさ2:矛盾した心理
多くの周辺国が米国の「保護の傘」と、中国の急速な発展への「相乗り」を望んでいる。ベトナム、フィリピン、日本にいたっては、米国との安全保障・防衛関係を格上げすることで、中国の核心的利益を侵蝕し、奪取しようとすらしている。この3国はほぼ同時に海洋で進取の姿勢、「米国によって中国を牽制する」対処戦略をとった。今後5-10年内にこうした矛盾した心理が根本的に変化することはあり得ない。これは中国の周辺政策に「相手国が気もそぞろなのを明らかに知りながら、それでも協力を断固強化すべきなのか?」「相手国との経済貿易協力は逆に安全保障面で中国に報復する能力を強化するのではないか?」との大きな難題を突きつける。対中政策における周辺国の矛盾した心理は、中国の善隣友好政策の実行の程度に多かれ少なかれ影響を与える。