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「風立ちぬ」 子供たちを置き去りにした宮崎駿監督の暴走

 「風立ちぬ」は宮崎駿監督初の、実在の人物と出来事をモデルに創作した、作品タイトルに「の」を含まない初の作品であり、大人の男性を主役にした、余り子ども向けでない異例の作品でもある。東北網が伝えた。

 「風立ちぬ」は宮崎監督本人の自伝的作品により近く、子供たちを置き去りにした暴走といえる。もし宮崎監督の世界観や思想が好きでなければ、「風立ちぬ」に感情移入するのは難しい。だがこのように凛として自らを表現する勇気は、宮崎監督が人々から敬慕されてきた精神のひとつでもある。

 ■人生観:たとえ世界に関心をもっても、できるのは誠実に努力して生きていくこと

 「風立ちぬ」は「零戦」(第2次大戦時の日本の主力戦闘機)の設計者、堀越二郎をモデルに、小説の作者堀辰雄を融合したリアルな物語だ。

 作品は次のような大人の価値観と人生観を表現している。主人公は美しい夢を追い求め、ひたむきに働き、恋愛をする。日本の大正から昭和にかけての激動の時代(関東大震災、失業者の増加、病気の蔓延、戦争の開始)、「最後には若者たちが零戦に乗って戦場に飛び立つことになるが、二郎は美しい飛行機をつくることを励みに仕事に打ち込む」「自分の今いる場所(職場)で、可能な限り誠実に、努力して生きるしかない。たとえ世界のあらゆる事に関心をもっても、変化する政治情勢に基づき自分の行動を決めることはできない。職業人は自分の職業に専心することで、小さな窓から世界を見つめる。これが世界と接触し、感じ取る方法なのではないだろうか?」

 この人生観は、宮崎監督が敬愛する堀田善衞の評論集『空の空なればこそ』で紹介されたことがあり、旧約聖書の言葉「凡て汝の手に堪ることは力をつくしてこれを為せ」にも相通じる。宮崎監督は2008年の講演で、この言葉を引用し「事前に意義があると判断したから、はじめてその仕事をするというものではない。どんな仕事を前にしても全力を尽くせば、その価値を感じる瞬間がきっとある」と語った。

 「風立ちぬ」の二郎はまさに「できることを懸命にする」という理想を担っている。これは宮崎監督の理想でもある。

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