中国が生物多様性の保護に持続的に取り組むのに伴い、「極小個体群野生植物」という新しい概念が注目を集めている。これらの脆弱な野生植物は極めて高い経済的、科学的、生態的価値を持っているが、個体群と個体数が極めて少ない。
雲南省は近年、極小個体群野生植物の保護を積極的に推進している。探し求め、保護、品種導入、繁殖、野生復帰……10数年の大変な努力を経て、雲南省は極小個体群野生植物の保護で初期的な成果を上げた。野外で発見したわずか6本の野生「華蓋木」が、今や1万5000本以上まで回復した。全世界で30数本しか残されていなかった野生の「巧家五針松」は、人工栽培により1万本近くの幼苗が得られた。野外で絶滅していた「富民枳」の個体群が原産地で再構築された……雲南省は現在まで、華蓋木、漾濞槭、巧家五針松、雲南藍果樹などの30数種の極小個体群の野生植物を絶滅から救っている。
華蓋木
雲南省は世界の生物多様性注目エリアの一つで、野生生物への脅威が深刻な地域でもある。ここの希少・絶滅危惧植物は、自然界での分布地域が狭く、外界からの干渉を受け、個体群及び個体数がいずれも極めて少ないという共通の苦境に立たされている。すでに生存を維持できる最小の個体群を下回り、常に絶滅危惧に瀕している。
これらの種を救うため、雲南省は2005年に「野生動植物の極小個体群の保護」イニシアティブを提案し、そして2010年に雲南省極小個体群救助保護計画綱要と緊急行動計画を発表した。
雲南省の3当局は今年の年初、「雲南省極小個体群野生植物救助保護計画(2021−30年)」を通達し、101種の極小個体群野生植物を保護対象に指定するとともに、リスト内のすべての種の個体群数の安定または増加を実現し、生存環境の質を改善し、絶滅回避を保証し、最終的にほぼ整った救助保護体制を形成するとの目標を打ち出した。
漾濞槭
中国科学院昆明植物研究所研究員で、雲南省極小個体群野生植物総合保護重点実験室主任の孫衛邦氏は、「一つの種は一つの遺伝子バンクだ。極小個体群野生植物は大自然における極めて貴重な遺伝子資源で、潜在的な『緑の金鉱』のようなものだ。極小個体群野生植物の救助と保護は、国の持続可能な開発の戦略的生物資源の保護で、中国の生物多様性の保護に対して極めて重要な意義を持つ」と述べた。
孫氏は、「異なる植物種の資源的特徴に対して、極小個体群野生植物保護はすでに生息域内保全、近隣域保全、生息域外保全、遺伝資源バンク遺伝資源保存、個体群強化、野生復帰といった複数の保護方法を結びつけた総合保護体制を形成している。
雲南省は将来的に省の北西部や南東部などの異なる生物地理エリア内で「極小個体群野生植物専門園」を設立し、遺伝資源調査、収集、保存、育成などの活動に取り組むとともに、極小個体群野生植物の移し替え及び近隣個体群の構築、野生個体群の回復・再構築を行う計画だ。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年7月14日