花火を打ち上げ、商業施設でウィンドウショッピングをし、旅行に出かける……。2023年の春節(旧正月、23年は1月22日)に伴う連休期間中、各大都市では旧正月のお祝いムードが徐々に戻りつつある様子が見られた。ショッピングセンターは旧正月明けから幸先の良いスタートを切り、飲食市場には賑わいが戻り、文化観光の業態が人気を集めるなど、多くの産業や消費シーンで旧正月明けから好調なスタートが切られた。それと同時に、春節経済の影響は中国国内だけでなく、世界にも波及効果をもたらした。
商業施設が好調なスタート
「ショッピングモールにこんなにたくさん人がいるなんて思わなかった。年越しをした後は人が少し減ると思っていた」。河北省の張睿さん(仮名)は春節連休期間中、故郷の商業施設の賑わいを見て非常に驚いた。旧暦の1月2日から6日にあたる1月23-27日、張さんが出かけた石家荘のショッピングモールは黒山の人だかりで、衣類やアクセサリーを買いに来る人であふれ、人気のレストランとなると順番待ちの列に並ばなければならないほどだったという。
複数の不動産企業関係者も、「春節の長期連休期間中、当グループ内のショッピングセンターはどこも好調で、来店者が大幅に回復し、春節前の2倍に達したところもあった。また、ゴールド・ジュエリー製品ブランドの売上が非常に好調で前年同期比で200%近く増加し、世界的化粧品ブランドの売上も年間で最高を更新したところもあった」と振り返った。
ショッピングセンターの北京麗澤天街は春節連休期間に「東洋の美学」をテーマにした没入型展示を行ない、北京房山天街は「妙会洛神(女神に出会う)」をテーマとした新春ムードのショッピングシーンを演出し、連休期間の売上高は前期比で149%増加した。
このほか、重慶市の竜湖・北城天街も一連の新年イベントを打ち出し、全体として来店者が明らかに回復して、春節前の2倍に達した。
中国万達集団が運営する大型商業施設の万達広場の来店者もかなりの数にのぼった。同集団のまとめたデータでは、21-27日には、全国に480ヶ所ある万達広場の来店者は延べ1億6千万人、売上高は126億8千万元(1元は約19.3円)に達し、来店者は2019年に比べて15%増加し、売上高は同29%増加した。
飲食業市場が回復
中国調理協会が行なった「うさぎ年春節連休期間の重点飲食産業経営状況調査研究」データによると、調査に回答した外食企業の21-27日の売上高は前年同期比で24.7%増加し、19年同期に比べて1.9%上昇した。来店者は22年の春節に比べて26%増加し、19年の春節とほぼ同じ水準となった。
同協会は、「今年の春節の飲食産業は、店内飲食など各種のオフライン消費シーンが急速に回復したほか、オンラインを通じたメニューの消費も勢いを保ち、好調なスタートを切った」と指摘した。
文化観光の業態が人気に
今年の春節連休には、旅行先で春節を迎えるのが一大トレンドになった。雲南省の大理や北方の雪原に出かけ、SNSに写真をアップするのが新しい社交スタイルになった。
最近、文化・観光部(省)データセンターが発表したデータによると、春節連休期間中、中国全土で国内観光に出かけた人が同23.1%増の延べ3億800万人に達し、19年同期の88.6%まで回復した。国内観光収入は同30.0%増の3758億4300万元を達成し、19年同期の73.1%まで回復した。
万達集団によれば、連休期間中、吉林省にある万達長白山国際レジャーリゾートを訪れる人が爆発的に増え、ホテルは満員で部屋が取れなくなり、ホテル8軒の売上高は19年同期比52%増の4200万元に達した。貴州省にある観光村の丹寨万達小鎮を訪れた人は19年同期比46%増の28万9千人だった。陝西省にある革命ゆかりの観光エリアの延安紅街には38万8千人が訪れ、前年同期に比べて大幅に増加した。
不動産ディベロッパーの融創中国によると、連休期間中、大型商業施設の融創文旅傘下の各種業態企業が春節イベントを打ち出した。江蘇省にある屋内スキー場の無錫熱雪奇跡は来場者が開業以来の1日あたり最多を更新。テーマパークでは、四川省の成都融創楽園の来場者が同2倍近く増加した。また広東省にある広州融創文旅城では、全業態を合わせた来店者が同30%以上増加した。
世界中から物を買い、世界経済を駆動するエンジンに
中国の春節は中国国内の経済に火を付けただけでなく、その波及効果が世界へと広がりつつある。
中国のショッピングサイトが「海外商品を農村に」、「世界でプレゼントを探す」、「グローバル購入」などさまざまな販売促進キャンペーンを打ったことで、春節ショッピングシーズンの中で多くの海外企業がビジネスチャンスをつかみ、大きな利益を上げた。ドイツを例にすると、中国市場で好調なブランドが春節ショッピングシーズンの恩恵を受け、自動車、食品、化粧品などのドイツ製品が中国の消費者に大人気となった。
中国の春節ショッピングシーズンは基本的に元日(1月1日)に始まり、旧暦の1月15日(今年は2月5日)まで続き、世界のホリデーショッピングのピーク期間を延ばし、世界の需要を効果的に喚起し、グローバル経済を牽引した。「需要が供給を決定する」と言われる通り、春節経済の新たな需要は、世界の新たな供給だけでなく、より多くの雇用機会をも生み出し、グローバル経済により一層の活力をもたらした。
中国人の海外旅行が世界にとっても新たな発展の力に
海外の製品を取り寄せて買うだけではない。中国の人々の間では、春節長期連休を十分に利用して海外に出かけたいとの意欲が高まり、「海外での春節」で異国情緒を味わう人も増えてきた。それを受け、世界各国も中国人観光客を呼び込むため、春節を国際的なイベントデーとして祝うようになった。
例えば、オーストラリア・シドニーでは、春節になるとチャイナタウンが赤や金色、ピンクなどのおめでたい色で飾られ、濃厚な「旧正月ムード」が醸し出される。英国のスコットランド国立博物館は、屋上をユニコーンと中国の竜の形をしたランタンで飾った。
中国観光研究院が発表したデータによれば、19年の中国の海外旅行市場の規模は、海外旅行者が延べ1億5500万人、海外旅行者の海外での消費額が1338億ドル(1ドルは約130.0円)に上った。海外旅行者数でも、海外旅行消費の規模でも、中国は世界一だった。
この3年間、新型コロナウイルス感染症が各国のビジネス貿易協力と文化交流事業に大きな変化をもたらし、中国も大きな影響を受けた。しかし、中国の感染症対策措置が最適化され続けるに従って、中国と世界とのつながりが急速に回復している。中国の春節経済は再び世界の注目を集めるとともに、世界にとってもその楽しさと活況をシェアする機会となっている。(人民網日本語版論説員)
「人民網日本語版」2023年1月31日