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蘇る京杭大運河、生気を取り戻す北京・天津・河北省区間

人民網日本語版 2022年05月09日14:16

古代の人が人工的に河川のカーブを増設して、水がゆっくりと流れるようにし、河川の排水能力を保ちながらも、船がスムーズに通行できるようにした。画像は南運河徳州区間徳城区(撮影・劉克政)。

北京市から浙江省杭州市までを結ぶ「京杭大運河」は長い歴史を誇り、洪水・水害防止、水の供給、水運、自然景観といった機能を備えている。そんな同運河で4月14日から補水が実施されて、100年ぶりに全線での通水が実現した。補水は5月31日まで行われ、合わせて西湖37個分の水量に相当する5億1500万立方メートルの水が補水される計画だ。中国水利部(省)の関連責任者によると、今月4日の時点で、京杭大運河の黄河以北区間の補水量が予定量の73.7%に相当する3万7975立方メートルに達した。また、黄河以北区間の河川707キロ全てで十分な量の水が流れている。

京杭大運河の北京・天津・河北省区間の補水計画。

北京から南約300キロに位置する山東省徳州市は、北京市・天津市・河北省協同発展において重要な都市の一つで、昔から京杭大運河を通して北京と繋がっていた。今回の補水実施により、徳州大運河の両岸の生態環境が大幅に改善された。歴史ある街・徳州市には今、運河の流れる独特な景色や雰囲気が広がっている。

また情緒あふれる景色が広がる全長182.6キロの大運河・天津区間はここ連日、多くの観光客で賑わっている。大運河文化を研究する専門家・周偉苠氏は、「天津は大運河によってできた都市と言われている。天津だけでも、大運河関連の文化遺物や遺跡公園が200ヶ所以上ある。京杭大運河・北京・天津・河北省・山東省区間では、約1世紀ぶりに全線での通水が実現し、運河沿線の水生態系が回復、改善している。千年以上の歴史を誇る運河は、『生きた遺産』であり、100年ぶりの復活を遂げ、今後は運河沿線地域の経済や文化の発展、生態文明建設を牽引するに違いない。そのため、画期的な意義がある」との見方を示す。

京杭大運河の全線で通水が実現し、カーブの多い河北省滄州区間では、きれいな水の流れる河川が大きく蛇行し、その周りに木々が青々と茂っている(撮影・傅新春)。

517年に北魏が設置し1500年以上の歴史を誇る河北省滄州市は、運河が発展をもたらした都市だ。全長1794キロの京杭大運河が経由する十数都市の中でも、滄州はその長さが比較的長い都市となっている。滄州の「母なる川」である大運河は、8県(市、区)を流れ、その長さは215キロ。沿線には遺跡もたくさんあり、河道の保存状態も優れている。

生態系が大運河の「命」であるとすれば、文化は大運河の「魂」と言えるだろう。大運河が生気を取り戻すためには、各地域の協力メカニズムをさらに整備し、生態環境保護・修復を継続的に強化しなければならない。また、手を携えて取り組み、バラバラになった貴重な文化遺産を集め、大運河文化の架け橋としての役割を十分に発揮させていかなければならない。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年5月9日

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