初の海上移動自己昇降式油井プラットフォーム「海洋石油163」。撮影・王瑞
中国海油石油集団有限公司(中国海油)がこのほど発表した情報によると、中国が独自に設計・建造した初の海上移動自己昇降式油井プラットフォーム「海洋石油163」がこのほど、北部湾沖で正式に稼働開始した。潿洲12−8油田東エリアの経済的で効果的な開発をサポートする。これは中国の海洋限界油田開発能力の新たなブレイクスルーを示しており、海上油ガスの埋蔵量・生産量拡大、国のエネルギー安全保障に対して重要な意義を持つ。人民網が伝えた。
「海洋石油163」が潿洲島で稼働開始。撮影・肖書俊
限界油田とは通常、小規模で埋蔵層が薄く物性が劣る中小型油田、または地層構造が複雑で遠くに離れた場所にある油田を指す。これらの油田は往々にして、経済的効果の評価が低い、または収益目標を達成できないことから、通常の開発モデルを採用しにくい。潿洲12−8油田東エリアは潿洲島から約31キロメートル離れており、埋蔵量が少なく、埋蔵層が薄く、原油の粘度が高く、可採埋蔵量が少ない。開発コストが高く、投入産出比率が低い典型的な限界油田で、発見から20年以上にわたり開発されてこなかった。
設備の試験を行う海上プラットフォームの作業員。撮影・王瑞
中国海油湛江分公司の探査開発部マネージャーの范彩偉氏は、「我々は限界油田の特徴に対して、移動式+一体化という画期的な開発モデルを打ち出した。海洋石油163を独自に設計・建造し、稼働開始させた。潿洲12−8油田東エリアの経済的で効率的な開発を実現した」と説明した。
設備の試験を行う海上プラットフォームの作業員。撮影・肖書俊
従来の固定式ジャケット油井プラットフォームと異なり、海洋石油163は昇降、移動、再利用が可能という特徴がある。海洋石油163プラットフォーム長の黄鵬氏は、「現在の開発・生産任務が終了した後、プラットフォームは昇降システムにより海面まで降り、タグボートによって新たな作業エリアまでけん引され、使用され続ける。設備の利用率を最大限に高め、油田開発コストを大幅に削減でき、限界油田開発の優れものだ」と述べた。
海洋石油163は生産と生活を一体化させた4本の柱を持つ自己昇降式油井プラットフォームであり、中国初の海上移動自己昇降式油井プラットフォームでもある。同プラットフォームは長さ約81メートル、幅44メートルで、甲板の面積はバスケットコート6面分に相当。総重量は7000トン余りで、設計寿命は25年、最大作業水深は45メートルで、重要設備の国産化率は100%。自動油井修復の能力や、油井サポート、原油生産、原油計量、油ガス水分離、水生産・処理、注水、原油パイプ輸送などの作業機能を持つ。
稼働開始のプロセスを行う海上プラットフォームの作業員。撮影・王瑞
潿洲12−8油田東エリアの1日当たりの原油生産量のピーク値は約1300トンで、増産可能な原油は累計80万トン超。同油田の開発成功は、海洋限界油田の開発の壁を打破した。これは中国の「ミツバチ式」石油採掘モデル技術体制が成熟に向かうことを意味し、中国の海洋限界油田の開発能力の向上、数億トンの手つかずの埋蔵量の活用に向けたしっかりした基礎を固めた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年4月15日