高さ約1センチほどの超ミニサイズの花瓶を作る陶芸家の動画が最近、ショート動画共有アプリ「抖音(TikTok)」で大きな話題となっている。環球時報が報じた。
陶芸家は、米粒よりやや大きめの粘土をろくろにのせて指先で形を整え、細い櫛のような道具で高さ約1センチの花瓶を作り上げると、絵筆で色を付けて仕上げている。そして最後には出来上がった花瓶に小さな花を挿してみせるという完璧な仕上がりになっている。
この動画はTikTokで4500万回再生され、420万個の「いいね!」を集めている。動画には「TikTokで見た最も器用な手」や「とてもかわいい。チョコレートみたいで、食べたくなっちゃった」、「こんなに小さい花瓶を見るのは初めて。驚きだ!」といったコメントが寄せられており、TikTokの達人100人以上がコラボ動画を製作し、再生数は合わせて2000万回を超えている。
この動画を投稿している「@Chineseporcelain(中国陶磁器)」というアカウントは、超ミニサイズの陶磁器ばかりをアップしており、フォロワー数は55万人を超えている。動画に映る陶芸家は、江西省景徳鎮市に住む80後(1980年代生まれ)の王文化さんだ。王さんは超ミニサイズの陶磁器を作るようになって5、6年になり、一番小さい作品はなんとわずか2ミリという。
王さんは2010年ごろに、出身地の安徽省阜陽市から景徳鎮市にやって来て、陶磁器大学で学んだ後、陶磁器のアトリエを開いて起業。主に中型から大型の陶磁器を作っていた。「景徳鎮市で世界最大の陶磁器を見たことはあるが、世界最小の陶磁器は見たことがないので、作ってみようと思った」と王さん。
市場で販売されている小型陶磁器で最も多いのは、嗅ぎ煙草を入れておくための容器の「鼻煙壷」で、サイズは約8センチだ。海外には10センチほどのミニサイズの陶磁器を製作しているアーティストもいる。
1トンを超える景徳鎮の陶磁器と王文化さんが製作した超ミニサイズの蓋つき茶碗。
もっと小さい陶磁器を作りたいと考えた王さんは、まずミニサイズのろくろを自作した。それ以外は特に専用の用具は無く、竹ひごや針金、釘など身の回りにある物を使い、娘のヘアピンを使ったこともあるという。2018年、王さんはTikTokのアカウントを開設し、超ミニサイズの陶磁器を作る様子を捉えた動画をアップするようになった。すると、予想外の人気になり、最も多い動画で、中国国内の再生数が1千万回を超え、その人気は海外のプラットフォームにまで飛び火した。TikTokの動画の再生数は累計で1億2000万回を超えているという。
王文化さんと彼の作品
これまでに、ビデオブロガーの李子柒(リー・ズーチー)さんや木工職人・王徳文さんのチャンネル・阿木爺爺(Grandpa Amu)などが、動画共有サイト・YouTubeで大人気になってきた。今では、TikTokを含むショート動画は、海外のネットユーザーがグルメや工芸、知識、無形文化遺産といった中国の伝統文化について知る重要な窓口となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年12月14日