中国の研究者は損傷を受けたエナメル質の修復に用いる人工材料を開発した。歯全体の修復が可能で、その力学的性能は天然のエナメル質と一致する。この研究結果は米「Science Advances」(最新号)に掲載されている。新華社が伝えた。
エナメル質は自己修復・再生能力を持たない歯の最も外側の組織だ。研究者はバイオミネラル化の方法によりエナメル質を「複製」した。これは生物体が生物大分子の調整により無機鉱物を生成することだが、エナメル質の各級の秩序正しい複雑な構造を構築することが大きな課題だ。
浙江大学が主導する研究チームは、極小サイズのリン酸カルシウムクラスターを利用し、エナメル質の表面に緊密に結びつくミネラル化層を作り、エナメル質の自発的な外への成長を誘発した。最終的にエナメル質の複層構造の再構築を実現し、ミネラル化によるエナメル質修復の目標を達成した。
論文の共同著者で浙江大学化学学部博士の劉昭明氏は取材に対し「伝統的なリン酸カルシウム修復材料はサイズが大きく、隙間が多く外に拡大する結晶を実現しにくかった。新材料の直径は約1.5ナノで、ナノスケール上で融合を実現するとともに、基礎と緊密に結合する」と述べた。
この研究は口腔臨床応用の潜在的な価値を持ち、人のエナメル質修復の可能性をもたらした。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年9月3日