「緑化に国境はない」 甘粛省で15年間植樹活動続ける70代の日本人男性

人民網日本語版 2019年09月02日15:27

74歳さんになる武田英文さんが甘粛省を訪問するのは、これで26回目。敦煌ゴビ砂漠の胡楊林が青々とまっすぐに伸びている様子を目にし、武田さんは9月1日、東京に戻る前に、「甘粛省の緑化事業は、次の代にも伝えていかなければならない」と再び力強く語った。中国新聞社が報じた。

「2004年に初めて蘭州を訪れた時、飛行機を降りた眼の前には、黄土で覆われた荒れ果てた禿げ山が広がっていた。日本では考えられないような風景だった」と取材に答える武田さんは、当時を思い出しながら語り、「その時から、この地での植樹造林を進め、荒れ果てた山に緑を取り戻そうと決心した」とした。

武田さんは当時、秋田県林業育成協会の会長だった。その時から15年間にもわたって努力を続け、日本で集めた寄付金約800万元(1元は約14.83円)を、甘粛省蘭州市南北両山・敦煌陽関鎮・天水秦安県の各地に分配して約533ヘクタールを造林し、140万本以上の苗木を植えた。

「多くの人が私に、『甘粛省で1株の樹木を育てることは、子供1人を育てるより大変だ』と進言してくれた。あとになって、それが確かに本当だと感じたし、一度は自信を失いかけたこともあったが、甘粛省の人々の情熱のおかげで何とか続けることができた」と武田さん。

武田さんは古希を越えた高齢にもかかわらず、非常にエネルギッシュで、緑化事業のプロセスを写真で記録し、パワーポイントを作成し、日本で寄付金を募る際のプレゼンテーションでしばしば使用しているという。

「ここでの植樹がどうしてこれほど難しいのか?それは、山に水がなく、ふもとから上に水を引くか、地下水を引いて、スプリンクラー灌漑を行うしか方法がないからだ。それにこれらの設備は非常に高価。敦煌の年平均降水量は約39.9ミリだが、蒸発量は2396.6ミリに上るため、最も寒さに強い胡楊樹しか植えることができない。天水市の湿度はやや高いことから、植樹して育てることがやや容易。だが、現地の農民の多くが貧困にあえいでいるため、農民の増収が望めるリンゴのような商品作物を植えた」と、武田さんは甘粛省の植樹について知らないことはないと言ってもいいほどだ。

武田さんは数日間かけて中日友好林を再訪した。山を覆う樹木は青々と生い茂り、かつて一面を覆っていた黄土は活き活きとした緑の草で覆いつくされていた。「環境が良くなり、雨量が多くなり、山はますます緑豊かになってきた。毎回、来るたびに大きな変化が感じられる」と武田さん。

長年にわたり、甘粛省と日本の間を往復している武田さんにとって、蘭州はいまや第二のふるさとになっていると言っても過言ではなく、来るたびに必ず地元の牛肉麺を食べるのだという。

「父は蘭州を心から愛しており、私自身もその影響を大いに受け、学校を卒業後、この地にやってきた」と話すのは、武田さんの息子の武田英一さんだ。英一さんは、2年前から西北師範大学で教鞭をとっている。英一さんも時々、父親を手伝い、日本の青少年に呼びかけ、甘粛省の大学生とともに蘭州で植樹をする活動を実施しているという。

「中国はいま、日本を上回り世界第2のエコノミーとなった。それなのにどうして、日本人がわざわざ寄付金を募って中国に行く必要があるのか?」とする日本人や財団も多いという。その点について武田英文さんは、「私は植樹造林に国境はなく、地球の緑化は全人類に関わることだと考えている。地球というふるさとをより美しくするために、地球の生態環境をより良くすることは、我々の務めだ」との見方を示している。(編集KM)

「人民網日本語版」2019年9月2日

  

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