7月19日、日本の京都市伏見区桃山町にある3階建ての建物の前は花で埋め尽くされ、道行く人が立ち止まって手を合わせたり、黙祷を捧げたりしていた。この建物は京都アニメーションの第1スタジオで、これまで10年間にわたり、アニメファンから親しみを込めて「京アニ」のスタジオと呼ばれ、日本のテレビアニメを代表する最高水準のアニメ作品を数多く世に送り出してきた。「中国文化報」が伝えた。
▽繁栄する業界と零落する担い手
今回の放火事件がなければ、今は日本のアニメが最も輝いている時期だと言えた。
6月21日、「新世紀エヴァンゲリオン」改訂版全26話、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君に」、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版DEATH」が米国のネットフリックスで配信され、日本のアニメ史で画期的な意義をもつこの作品が誕生から24年を経て世界の多くの国をカバーする動画配信プラットフォームについに進出した。業界ではこれによって日本アニメの国際的影響力が新たな頂へ押し上げられることになると期待されている。これと前後して、宮崎駿監督の名作アニメ「千と千尋の神隠し」が再びスクリーンに登場し、大勢の日本アニメファンは改めて日本アニメへの思いを熱くした。
日本アニメが世界の文化において奇跡を生み出してきたことに疑問の余地はない。1990年代には、ピカチュウが世界を席巻し、一世代の人々の生活を大きく変えた。世紀が変わり、日本アニメは世界的にブームを巻き起こし、名作アニメは一世代の人々と一緒に成長して共通の記憶になった。2002年から17年にかけて、日本アニメ産業の規模は2倍に拡大し、生産額は190億ドル(1ドルは約108.2円)を突破し、日本アニメはアニメ界の基準とモデルになり、日本の最も代表的で影響力をもった文化的シンボルにさえなった。
しかし、人気の一方で、日本アニメ産業をめぐるトラブルは間断なく続き、繁栄の背後には極めて大きな問題が潜んでいる。
日本アニメ産業は毎年190億ドルの価値を生み出して国に貢献してきたが、アニメ産業従事者の収入は低く、仕事を続けるのは至難の業だった。スクリーンの世界のような魔法はない現実の中で、多くのアニメーターは困難に直面し、破産する人もおり、仕事に疲れたり、時には自殺者が出たりするような環境の中で長らくもがき苦しんできた。非情な産業構造とアニメの芸術的理想主義とのズレにより、アニメーターは芸術的な夢の世界を紡ぎ出すためには、搾取されるようなひどい状態に耐えなければならなかった。