〇地震警報は発表可能だが、予報は不可能
地震の専門家は、「緊急地震警報とは、地震の予測や予報ではなく、地震が発生した後、縦波と横波の時間差に基づき、地震波との『競走』であり、その競走に勝って、実際の揺れが起こるまでの時間を発表するシステムだ。地震発生の瞬間、速く伝わってくるのは、強度が比較的小さい縦波で、その速度は毎秒7キロメートル。より破壊力の大きい横波は、伝播スピードが縦波より遅い(毎秒約4キロメートル)ため、数十秒遅れて地表に伝わる。地下の深い場所で揺れを感知する地震感知器が、縦波を検測した後、そのデータがコンピュータに届けられ、コンピュータは直ちに、マグニチュード・震度・震源地など大まかな情報を算出する。そして関連部門は、横波が地表に到達する十数秒前までに、テレビ放送やラジオで警報を発表する。テレビ放送とラジオが依拠しているのは電磁波であり、電磁波が伝わるスピードは、横波のスピードよりかなり速い。効果的な地震警報システムの運用は、強大な地震監視測定システムを拠り所としている」と説明している。
一方で、「地震警報システムの原理に基づき、システムが提供する『対応のための時間』には限度がある。この時間内に、我々は、高速鉄道列車を停車させ、エレベーターの一時使用停止・重要機器・設備の保護やシャットダウン・人々の安全エリアへの避難誘導などをできる。とはいえ、地震警報の効果を過度に誇張しないでほしい」と指摘した。
さらに専門家は、「これはまた地震警報システムの原理を反映していると言える。つまり、震源地に近ければ近いほど、警報の発表までの時間は短く、震源地から遠いほど、その時間は長くなるが、それに伴い緊急速報の意義も低くなる。また、地震警報は、『スピード』が求められるため、地震の大きさや震源地など情報に対する判断は、必ずしも完全に正確だとはいえない。このため、学界における地震警報に対する意見は、現時点でも一致していない。賛成側は、『地震による損失を効果的に免れることができる』と主張する一方、反対側は、『システムは、長期にわたるマンパワーや物資の投入を必要とするが、その効果は限られている。長期的スパンで見ると、建物の耐震設計を強化することが、地震災害を防ぎ、自らを救うためにはより効果的な方法だ』との見方をしている」とした。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年6月18日