日本を旅行しようとする場合、多くの中国人がまず最初に選ぶ目的地が京都だ。京都への理解を深めたいなら「京都」というタイトルの本がおすすめだ。中国新聞網が伝えた。
日本の学者梅棹忠夫氏は、この「京都」について、「究極の京都のガイドブックだ」と評価し、中国の脚本家で映画評論家の史航氏は、「これはガイドブックというよりは、日本史を繋いでおり、この1冊を読むだけで、古今東西を見渡すことができる」と評価している。
日本で最も歴史情緒漂う都市と言われている京都は、794年から1868年まで日本の首都だった。1000年以上の歴史を誇る古都・京都には、歴史的遺跡がたくさんあり、その一部の建築物は世界文化遺産にも登録されている。
文化の息吹を感じることができる京都には、長年にわたり世界各地から観光客が訪れている。人気観光都市として知られる京都は多くの人に愛されているものの、いつも「誤解」されてもいる。
「京都」の作者・林屋辰三郎は、歴史学者の視点から、日本史という枠組みの中で、各人気観光スポットの起源と変遷を分析している。
林屋は、年代順に京都の各名所、風習、人情を生き生きと描写し、時にはほんのわずかな内容だけで見事にその歴史の変遷を総括している。
林屋は1914年に石川県金沢市に生まれ、1938年に京都帝国大学文学部を卒業。立命館大学教授や京都大学人文科学研究所教授、京都国立博物館館長などを歴任し、「京都の歴史」・「史料 京都の歴史」などの編著を刊行し、各社の「日本の歴史」の編集委員も務めた。
普通の旅行ガイドブックと違い、「京都」は、知識を興味深く伝える歴史書だ。史航氏は、「この本は、ガイドブックでも、重要なポイントだけに的を絞った本でもなく、日本史を繋いでおり、この1冊を読むだけで、古今東西を見渡すことができる」とし「この本は、商人や社会的地位の低い人、ひいては強盗など、いろんな背景の人が出てくるのがおもしろいところだ」と評価している。
学者で作家の止庵氏も、「林屋辰三郎は学者で、京都を専門に研究していた。彼は京都を歴史と合わせて紹介しており、厳密に言うとこの本は『京都伝』だ」としている。
現在、京都はすでに近代化された都市に発展している。しかし、林屋辰三郎の「京都」には、地下鉄も、京都タワーも、カラー写真も登場することはなく、それを読んでいると昭和初期の時代にタイムスリップしたよう気分になる。その一方でこの本に登場する神社や仏閣は、昔のままの状態で今も保存されており、それを読むと京都の歴史情緒を感じることができるというのが「京都」の価値ある点でもある。
史航氏は、「京都はとても美しい町。日本に行く時は、シャーロック・ホームズのように、自分が一番初めにそこを訪ねる人ではないものの、必ず新しい発見をすることができる。それがおもしろいところだ」と話す。
止庵氏は、「京都は文化的要素が非常に多い都市。京都は観光地であるものの、そこで『生活』を感じることもできる」としている。
京都が誇れるものは観光業だけでない。林屋は「京都」の中で、「京都市の旅行、観光だけに頼る政策は、あまりに薄っぺらいことをよく反省しなければならない」と指摘している。 (編集KN)
「人民網日本語版」2019年4月23日