中国人民銀行(中央銀行)は今年、ターゲットを絞った預金準備率引き下げを数回にわたって行った後、19日には新たな金融政策ツールとなるターゲットを絞った中期貸出ファシリティ(TMLF)を創設することを発表した。これは「ターゲットを絞った金利引き下げ」だとみられている。中国新聞社が伝えた。
なぜ「ターゲットを絞った金利引き下げ」なのか。それはこの政策ツールの狙いが明らかだからだ。その狙いはターゲットを絞って金融機関が小規模・零細企業および民間企業に資金を貸し出すのを支援することにある。また人民銀がよく利用する中期貸出ファシリティ(MLF)に比べ、TMLFなら金利で15ベーシスポイントの優遇が受けられる。
交通銀行金融研究センターの鄂永健チーフ金融アナリストは、「新たな措置には3つのポイントがある。1つ目は期間が長いことだ。操作期間は1年だが、満期を迎える時に継続申請を2回行うことができ、実際の利用期間は3年になる。2つ目は費用が安く抑えられることだ。現在の金利は3.15%で、民間企業と小規模・零細企業の資金調達コストを引き下げる上でプラスになる。3つ目はカバー範囲が広いことだ。条件を満たした大型商業銀行、株式制商業銀行、大型都市商業銀行はいずれも申請資格がある」と説明する。
中国国際金融股フン有限公司(フンはにんべんに分)の陳健恒アナリストも、「TMLFの期間はより長く、金利はより低く、銀行を惹きつける力がある。銀行に対し、TMLFを申請し、小規模・零細企業や民間企業への貸出を増やすよう奨励できる可能性がある」との見方を示す。
現在、中国は年末の「資金不足」に陥りやすい時期を迎え、大量の流動性を投入して毎年やって来る流動性不足のリスクに備える必要がある。そこで人民銀は最近、頻繁に手を打って市場に流動性を投入し、特にターゲットを絞って民間企業と小規模・零細企業により多くの資金支援を提供しており、いずれも想定の範囲内のことだ。
今年下半期以降、人民銀はたびたび手を打ち、再貸出と再割引の限度額を3回にわたって合計4千億元(1元は約16.2円)引き上げ、中小金融機関が引き続き小規模・零細企業、民間企業への貸出を拡大するよう支援してきた。7月には人民銀がMLFで無担保債権を増やして担保にすることを認めると発表し、これによって銀行が小規模・零細企業と民間企業への信用の投入を増やすよう支援した。
TMLFの創設発表当日の午前に、人民銀は公開市場操作でリバース・レポを実施して流動性600億元を投入し、年末で不足気味になる資金プールに「注水」した。今週になってから人民銀は累計4千億元を投入している。
だが陳氏は、「TMLFは銀行に申請を誘導することはできるが、金利引き下げではない。TMLFの要件はMLFより厳しく、一定の条件に合致し、小規模・零細企業と民間企業への貸出増加に確実に使用しなければ申請は行えない。また今後の流動性投入規模がどれくらいになるかはわからず、真の意味で銀行システムの流動性の一層の緩和につながるかどうかは、しばらく様子を見る必要がある」と述べる。
陳氏の予想では、中国では春節(旧正月。来年は2月5日)前に預金準備率が引き下げられる可能性が引き続き高い。米連邦準備制度理事会(FRB)の政策の基調が転換すれば、人民銀がこれから緩和に向かう可能性がより高くなる。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年12月20日
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