2018年は日本にとっておだやかな年とはいえず、今年の漢字に選ばれた一文字から日本の今年のやるせなさが伝わってくる。日本漢字能力検定協会は今月12日に京都の清水寺で、「2018年の日本の世相を最もよく表す漢字は『災』。暴雨、地震、台風、猛暑が次々に押し寄せ、日本の人々は対応に追われた。数兆円に上る経済的損失が出ただけでなく、暮らしにも心理的にも大きな負担がのしかかった」と発表した。「北京商報」が伝えた。
今年の漢字が発表されたのは今年で24回目となる。今回は19万票を超える一般投票で、「災」が2万858票を獲得して選ばれた。清水寺の森清範貫主は、「今年の日本は北海道と大阪北部での地震、西日本の豪雨、記録的猛暑、台風など大きな被害を出した自然災害が相次ぎ、人々の暮らしに極めて大きな負担を与えた。来年は天災や人災が起こらないことを願う」として、縦1.5メートル、横1.3メートルの越前和紙に「災」と揮毫した。
暗い影が日本の2018年の夏を覆った。7月の豪雨は洪水や土砂災害などの二次災害を引き起こし、200人以上が死亡した。その後には激しい暑さがやって来て、150人以上が死亡し、8万人以上が病院に搬送された。9月には25年ぶりの強い台風が関西地方に上陸し、死者は11人、負傷者は約200人に上り、関西国際空港は数日間閉鎖された。悪い時には悪いことが重なるもので、台風に続いて北海道でマグニチュード(M)6.7の地震が発生し、400人を超える死者と約700人の負傷者を出した。
天災だけでなく、今年の日本では一連の「人災」も発生した。スポーツ界のパワハラ問題、財務省の決裁文書改ざん、私立大学3校での不正入試などが、世論の強い批判を浴びた。
英語の「sign」(ため息)に発音が似た漢字が、日本の人々に深い印象を与えた。北海道北部で被災した42歳の女性は、「『災』が今年の漢字に選ばれたことで、自然災害への恐怖と地震に続いて起きた停電が思い出された。電気がない状態で数日間暮らしたのは今回が初めてだった」と振り返った。災害続きの日本だが、「災」が今年の漢字に選ばれたのは今回が初めてではない。前回の2004年には、強い台風23号が上陸し、新潟県中越地方でM6.8の地震が発生した。
災害には損失がつきものだ。11月初めに日本の政府系金融機関・日本政策投資銀行が試算したところ、18年の4件の主な自然災害により、日本の経済活動が全体として被った損害は1兆1500億円に上るとされ、これは国内総生産(GDP)の0.2%に相当する数字だ。製造業の約5400億円の損失、非製造業の約4500億円の損失も含まれる。また観光産業は台風21号の深刻な被害を受ける中、関西空港が閉鎖されて外国人観光客が大幅に減少し、消費と関連の生産活動が約1600億円縮小した。
連鎖反応は背後に隠れていることが多い。今年6月、日本の専門家による学会が日本の南海トラフ地震と首都直下地震の発生後の長期的な経済的損失についての試算を初めて発表した。それによると、南海トラフ地震では、道路と工場の被害が経済に深刻な打撃を与え、発生から20年間の経済的損失は最大で1410兆円に達するという。日本の18年度一般会計予算は約97兆7千億円だ。災害の後には前を向いて生きていかなければならない。日本の安倍晋三首相は12日、今年の漢字に「転」を選んだ。ネットユーザーの間でも、「来年は『災い』転じて『福』になってほしい」といった声が広がっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年12月17日
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