同高速鉄道はインドの国家級工業プロジェクトであるデリー-ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)の3分の1をカバーするに過ぎない。またDMICはモディ政権が打ち出したデリー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタを高速鉄道で結ぶ「ダイヤモンドの四角形」計画の一部に過ぎない。規模から考えると、同高速鉄道はインド・日本の協力が行われていることを示す「前菜」程度の役割しか果たさないといえる。
▽インドに不適切
業界関係者によれば、「日本企業がインド高速鉄道市場に進出しようとした決意と野心はよくわかるが、インド市場には独自の規律がある。日本が輸出するインフラプロジェクトは費用が高額すぎて、インド市場の一層の開拓は難しい」という。
ムンバイのベテランメディア関係者のバシカさんは、「抗議の頻発で、ムンバイ・アーメダバード高速鉄道が予定通り完成するかどうかが確実でなくなってきた。そのため、建造費も増える」と話し、NHSRCLの関係者も、「最終期限までに土地接収が終わらなければ、日本の国際協力機構(JICA)は優遇条件の長期低利貸付(ソフトローン)の実行を遅らせることになる」と懸念する。
盤古智庫インド研究センターの毛克疾研究員は、「この高速鉄道が結ぶグジャラート州とマハーラーシュトラ州は、経済が発達し、インド政府を強く支持する州である。つまりインドで高速鉄道を発展させる条件が最も整った地域だといえる。この路線で期待されたような効果がなければ、インドの他の地域では高速鉄道プロジェクトのプラス面が縮小してしまう」との見方を示す。
またインド人の多くが、インドの現時点での国力と財力には限界があり、高速鉄道の巨額の建造費や限られた人しか利用できないことを考えると、むしろ限られた資金は老朽化した従来の鉄道システムのメンテナンスに充てる方が得策だと考える。またインドの人々は、スケールメリットがなく、沿線のビジネス開発も十分でない高速鉄道プロジェクトでは、投資を回収し、運営を続けるのは難しいのではないかと懸念する。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年8月16日
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