世界で標高が最も高い原始重力波観測ステーションが、西蔵(チベット)自治区阿里地区で建設中だ。竣工後、重力波観測チームの心強い味方になる。全国政協委員、中国科学院高エネルギー物理研究所研究員の張新民氏は記者に対して、同プロジェクトが順調に進んでおり、第1期観測所のメイン工事がほぼ終了していることを明らかにした。科技日報が伝えた。
「私は3年で建設し、5年で成果を出すと約束した」と語る張氏は、原始重力波探査計画すなわち「阿里計画」の首席科学者だ。「成果を出す」とは、2021−22年頃に阿里観測ステーションを利用し、北天区宇宙マイクロ波自然放射線偏光の最良の図を提供することを意味する。この図には、原始重力波の信号が隠されている可能性がある。
「阿里計画」は2016年末に正式に始まった。阿里観測ステーションは昨年3月、標高5250メートルの場所で着工された。標高が高く湿度が低いことは、宇宙マイクロ波自然放射線観測所の基本的な前提条件だ。北半球の最良の観測場所は、グリーンランド島と中国の阿里地区だ。阿里地区は大気の透過率が高く、水蒸気の含有量が少ない。グリーンランド島と比べ、阿里地区はすでに観測所建設条件を揃えている。中緯度地区に位置することから、目に見える天区の範囲はグリーンランド島の倍に達する。
「阿里計画」は国際協力プロジェクトで、国内外の十数チームが参加している。「阿里計画」望遠鏡主体の初歩的な設計は、中国科学院高エネルギー物理研究所と、協力先の米スタンフォード大学のチームによって完了している。
重力波検出器「LIGO」による重力波探査への重大な貢献によりノーベル賞を受賞したレイナー・ワイス氏も、「阿里計画」に注目しており、「中国はこの独特な地理的条件を利用し、世界共有の設備を建設する。全世界が、中国のこの取り組みを知るべきだ」としている。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年3月7日
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