劉研究員の見方では、「安倍政権はトランプ大統領の訪日期間中に行った会談の中で、こうした変化がもたらす脅威をかぎ取った。トランプ大統領は安全保障問題をもはや強調せず、経済問題をより重視していた。さらにトランプ大統領は一方では日本に経済制裁を打ち出し、両国間の貿易赤字に強い不満を示し、また一方では今年上半期に中国に対して試験的に制裁を打ち出す意図を漏らしたほかは、中国との間で友好ムードを維持している。米国の圧力や圧力がもたらす国際情勢の変化の中、安倍政権にとっては、理念を転換し、米国以外に新たなパワーバランスを追求することが非常に切迫した任務になった。そして中国が最適な選択肢になった」のだという。
▽「一帯一路」から得られる利益は大
劉研究員によれば、「もう一つ注目すべき点は、中国が打ち出した『一帯一路』イニシアティブは実際のところグローバル化と対外開放推進で重要な役割を果たし、融合性と実行可能性の上で、日本が打ち出した開放戦略とある程度似通った部分があるということだ。これも日本が中国のイニシアティブを早急に受け入れようとする原因の一つだ」という。
また劉研究員は、「協力という側面で考えると、『一帯一路』イニシアティブには巨大なインフラニーズと投融資ニーズがあり、日本は自分の殻にこもってそこからの分け前を得られなくなるよりも、参加してその中のプロジェクトに融資サービスを提供した方が、より多くの利益を得られるようになることは明らかだ。『一帯一路』イニシアティブはユーラシア大陸を貫通し、新興エコノミー、発展途上国、先進国を結び、たくさんの工事やプロジェクトがあり、インフラ建設、エネルギー、情報など多くの分野をカバーする」と指摘する。
ドイツのアナリストは、「安倍首相は日本企業により多くのビジネスチャンスをもたらしたいと考え、また日本がこの日に日に規模が拡大する国際プロジェクトから排除されてはならないと意識するようにもなった。今のままでは日本はこのプロジェクトの今後の発展に対する一切の発言権を徐々に失い、政治的影響力も経済的影響力も日々増大する中国の前で、立場を失っていくことになる」と述べる。
国際基督教大学のスティーブン・ナギ上級准教授(国際関係論)は、「日本が参加しなければ、日本は多くのインフラプロジェクトを失うことになる。投資分野で、日本企業がそのうちの5%でも受注できれば、大きな取引だといえる。日本は参加すれば方針などの決定時に発言権をもつことになる。もう1つ押さえておくべき点は、来年は中日平和友好条約締結40周年にあたり、日本側は中国国務院の李克強総理の訪日を実現させ、中日関係を積極的に推進したいと望んでいることで、経済協力はそのための重要な手段になる」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年12月15日
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