現在、数多くの通販サイトが販売促進を目的として、「瞬間購入」イベントを続々と実施している。しかし、早くからPCの前で待機して、素早く操作しても目当ての商品を他人に取られてしまうと感じている人もいるだろう。実のところ、そのような人々が競争している相手は、人ではなく「瞬間購入」ソフトウェアなのだ。新華社が報じた。
太原市迎澤区人民法院(裁判所)はこのほど、「瞬間購入」ソフトウェア事件の判決を出した。ソフトウェアの製作者と販売者の計3人に対し、「コンピューター情報システムのプログラムおよびツールに侵入し、違法にコントロールした罪」で、懲役刑ならびに罰金が科された。瞬間購入ソフトウェアを製作・販売した容疑者に対して判決が言い渡されたのは、今回が国内初のケースとなった。
この事件に関連する瞬間購入ソフトウェアの名前は「黒米」といい、一度はオンラインの「ダフ屋」が殺到した「神器」となった。同ソフトウェアは、通販サイトのコンピューター情報システムにおけるセキュリティ保護措置を回避、あるいは突破して、機械の自動ログイン、大量の自動発注、自動支払いなどの操作を実現し、他の一般ユーザーの注文行為を不可能にして、最終的には人気商品の独占購入を果たす。
ソフトウェア・エンジニアリング専攻科を卒業した張容疑者は、瞬間購入について早くから研究していた任容疑者とネット上で知り合い、1週間で瞬間購入ソフト「黒米」を開発した。2人はその後、陳容疑者とネット上で知り合い、陳容疑者は黒米ソフト販売サイトを立ち上げ、同ソフトを販売した。任容疑者と張容疑者は2015年、天猫(Tmall)サイト専用の黒米天猫(淘宝)瞬間購入ソフトを開発し、販売サイトで大量に販売した。
2017年1月、天猫サイトからの通報を受けた太原市公安局迎澤区支局は、3人の容疑者を特定、逮捕した。
中国刑事警察学院物証鑑定センターによる検証から、同案件の黒米天猫ソフトは、「悪意のある」ソフトウェアであり、常軌を逸した方式・構造で淘宝網サイトのサーバーにリクエストを送り、ユーザーの淘宝アカウント手動ログインを模倣して大量注文を行う機能を実現させたものであることが明らかになった。
任容疑者と張容疑者は、黒米天猫(淘宝)瞬間購入ソフトを販売し買い手が商品の購入に成功した場合の報酬として11万元(1元は約17.0円)以上の利益を違法に受け取っていた。また、陳容疑者は、黒米シリーズソフトの販売ウェブサイトを立ち上げ、同サイトのメンテナンスを行い、ソフトの代理販売を行うことで、約6千元の利益を違法に受け取った。
公開裁判・審理を経て、太原市迎澤区人民法院第一審では、ソフト開発者である任容疑者と張容疑者に対し、懲役3年、執行猶予4年の有罪刑および3万元の罰金刑の判決が言い渡された。販売者である陳容疑者には、懲役2年、執行猶予3年と1万元の罰金が科せられた。
同人民法法院研究室の周玉旺・主任は、「ダフ屋向け瞬間購入ソフトウェアの製作・販売をめぐる国内初の事件となった『黒米』の判例は、コンピューター管理プログラムをかく乱する犯罪行為に打撃を与えた上、同類の犯罪行為に対する警告としての作用も果たした」とコメントした。(編集KM)
「人民網日本語版」2017年11月23日
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