南極は地球の果ての「白い宝庫」であり、人類共同の庭園だ。どう南極事業を発展させ、保護と利用の関係を正しく扱うかは、その国の「世界観」と「未来観」を反映している。(人民日報「鐘声」国際論評)
第40回南極条約協議国会議が北京で開催されている。中国が議長国を務めるのは、1983年に条約に加盟し、1985年に協議国になって以来初だ。中国はこれまでに南極観測の実施に33回成功し、国際的な最前線の南極科学研究に深く加わり、ブレークスルー的成果を世界に貢献した。例えば南極氷床最大の未知のエリアの観測を主導し、極地科学データ共有ネットワークや標本リソース共有プラットフォームを構築して世界的な共有を促進した。近年、南極は普通の中国人の生活に入ってきてすらいる。国際南極旅行業協会の統計によると、2015~2016年度に南極観光に訪れた3万8000人余りのうち、中国人は4100人で10.6%を占めた。
習近平国家主席は「南極観測は重大な意義を持ち、人類に幸福をもたらす崇高な事業だ。中国側は国際社会と共に、より良く南極を知り、保護し、利用したい」と表明した。中国は南極事業発展の30年余りにおいて、南極条約の趣旨と原則の維持及び国際社会全体の利益の観点に立ち続け、条約の与える権利と義務を積極的に履行し、南極事業の発展を着実に推し進め、人類が南極を知り、保護し、利用するための知恵と力を捧げてきた。中国は自らが南極における国際ガバナンスの重要な参与者、観測の力強い推進者、環境保護の積極的な実行者であることを行動によって証明してきた。
未来に着眼すると、人類が引き続き南極事業を発展させるには、保護と利用の関係をしっかりと扱わなければならない。南極は独特の気候環境と地理的特徴のため、自然や生態環境が脆く敏感であり、外界による損傷と影響を極めて受けやすい。地球温暖化、海洋環境汚染などの問題の南極への影響は日増しに明らかになっている。すでに研究者は、南極大陸の辺縁地帯が急速に緑化しているのに気づいている。これと同時に、人類はより頻繁に南極に足を踏み入れるようになっている。南極観光、生物探査など新たな活動が次々に行われ、南極ガバナンスに対する新たな圧力となっている。こうした試練に有効に対処するため、国際社会は南極の鉱物資源開発の「凍結」など現有の南極条約体制を堅持すると同時に、情勢の変化に基づき、相応の法律規範と監視・管理メカニズムを検討し、南極ガバナンスの法的枠組を整備し続ける必要がある。
運命共同体意識と(環境と成長の両立を目指す)「緑色発展」理念は、今日中国が国際問題を扱ううえで堅持している価値指向であり、南極における国際ガバナンスの問題においても同様だ。南極の保護と利用は人類共通の責任及び使命であり、後の世代に対する現代人共通のコミットメントでもある。南極は国際協力の新たな大地となっている。今回の南極条約協議国会議を通じて、中国は南極ガバナンスにより有効な公共財とサービスを提供し、人類が南極をより良く知り、保護し、利用するために一層の知恵を捧げるべく努力する。(編集NA)
「人民網日本語版」2017年5月26日
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