第二に、投資の不足傾向と持続性のなさが社会心理に影響を与えている。企業の設備投資は前期比0.2%増加にとどまり、既存の投資が飽和状態にあること、今後の投資の見通しがそれほど明るくないことがわかる。住宅投資は同0.7%増加し、5四半期連続の増加になったことは好材料だが、伸びは都市部に集中し、東京五輪の選手村建設などもこれに含まれる。報道によると、都市部で建築制限が緩和され、東京では建設中の30階以上の高層ビルは60棟を超えるが、資本は大都市にばかり集中し、中小都市や地方の凋落は明らかだ。20年の東京五輪後の成長源はいまだに見いだせていない。公共投資は0.1%減少し、3四半期連続で減少し、ここから財政政策の力不足がうかがえる。
第三に、日本の社会構造の問題は根が深い。高齢化によって社会保障や福利厚生にかかる圧力が増大し、出生率の低下で人口構造は上が広く下が狭いつぼ型になり、最近の高齢者用紙おむつの消費量が乳幼児用のそれを上回るといった現象が年齢構成の逆ピラミッド化を如実に物語る。日本政府は退職年齢の引き上げや女性の就業支援政策を打ち出して労働力の増加に努めようとしているが、労働生産性は少しも向上しておらず、中・低所得層の拡大を招くばかりだ。日本国内のサービス業などの労働生産性は米国をはじめとする西側諸国のわずか半分ほどで、問題の深刻さがうかがえる。
5四半期連続でGDPの伸びを達成したことは、日本政府にとって喜ばしいことにみえる。ただ過去20年あまりの間に4回あったGDPの連続増加の事例をふりかえると、そうでもない。たとえば1995年1月から6四半期連続で増加した時は、阪神大震災の復興建設を除いた企業の設備投資の増加率が最高で4%に達した。99年4月からの8四半期連続増加の時は、IT(情報技術)経済が革新によって発展する新たな分野をもたらし、人々は将来に大きな期待を寄せた。05年1月からの6四半期連続増加では、グローバル化と輸出により製造業の設備投資が増加した。こうした過去のケースに比べて、このたびの増加で特に目立つのは輸出額の増加だけで、設備投資も個人消費も低水準をうろうろし続けている。ここから世界における保護貿易主義の台頭が、日本企業の心理状態に深層レベルの影響を与えていることがわかる。
アベノミクスが掲げる発展の公式は、雇用が増えれば、収入が増え、消費が拡大し、物価が上昇し、デフレから脱却して、経済の好循環が生まれるというものだ。だが経済専門家の観察によれば、「国際原油価格の上昇がもたらした輸入価格の上昇と野菜などの季節商品の価格変動を除くと、日本がデフレから脱却したと確定するのは難しい」という。アベノミクスの「3本の矢」から「新3本の矢」に至るまで、産業構造の改革促進や生産性向上などの課題は長らく議論されてきたが、実際の取り組みとなるとかけ声ばかり大きくて中身や成果は乏しいと言わざるを得ない。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年5月25日
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