日本は最近、ASEANにしばしば秋波を送っている。このほど行われたアジア開発銀行年次総会では、ASEAN諸国と4兆元規模の二国間通貨スワップ協定を結ぶ意向を明らかにした。「国際商報」が伝えた。
4兆元のスワップ協定は小さい数字ではなく、人々は否応なく日本の動きの背景に何があるかを考えてしまう。
▽想定内のこと
中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲・副研究員は、「日本がASEANと通貨スワップ協定を結ぼうとしているのは、実際には(中国、日本、韓国やASEANが緊急時にドルを融通しあう)チェンマイ・イニシアチブマルチの一部であり、マクロ調整によって国際金融リスクに対処する手段だといえる」と述べた。
資料をみると、チェンマイ・イニシアチブマルチの前身は、2000年にタイ・チェンマイで行われたASEAN+3(中日韓)財務大臣会議で合意された「チェンマイ・イニシアチブ」で、金融危機の発生による打撃に対処することを目的として締結された地域レベルの通貨スワップのネットワーク構築に関する合意だ。主な内容には、ASEANのスワップ協定の数量と金額の拡大、中日韓ASEAN二国間スワップ協定の構築などがあった。
中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院大国関係研究室の鐘飛騰室長(副研究員)は、「日本とASEANの協力の進展ぶりはこれまでずっと順調で、通貨スワップ合意の締結は想定内のことだ。米国政府に比べ、日本は地域化の推進により傾いている。日本にとっては、経済開放にこそ日本の根本的利益がある。ASEANと日本は貿易、投資、支援など各方面の協力をめぐって阿吽の呼吸の関係であり、いずれ通貨協力を強化するとみられていた」と指摘する。
劉副研究員は分析を進めて、「4兆円の通貨スワップ協定は規模は大きいが、日本はASEANが1998年の金融危機発生時にチェンマイ・イニチアチブに調印した時のようなせっぱ詰まった状況にはないことを認識すべきだ。今のASEANは、全体として十分な外貨準備を保有し、ここ数年は輸出も好調で、もはや昔日のASEANとは同日に論じられない。よって、通貨スワップ協定の成立を後押ししたいなら、日本はタイおよびマレーシアとの二国間交渉によって一歩ずつ話を進めていくべきだ。今のASEAN諸国が必要としているのは、通貨スワップ協定よりもインフラ建設への投資だ」と指摘する。
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