1980年代、中日の民間交流が活発になり、当時和気町の町長だった藤本さんは、中国の都市と友好都市提携を結ぶことを提案し、最終的に、素朴な趣で、アクセスが便利な上海の嘉定区が選ばれた。97年、友好都市提携締結10周年を記念して、藤本さんは和気町の紫藤公園から花の房が長く、色が美しい柴藤を厳選し、接ぎ木して30種、約120株を育て、自ら嘉定区の南にある川のほとりに植えた。「米国ワシントンのポトマック川河畔沿いにの桜は、日米の友好のシンボルとなっている。上海の嘉定区の紫藤も日中友好のシンボルになるなら、それは本当に素晴らしいことだ」。
2000年に嘉定紫藤園が正式に開園し、02年に、70歳だった藤本さんは町長を退任した。それでも、藤本さんの上海に対する思いがあせることはなく、ほとんど毎年、自費で嘉定区にやって来て、自ら枝の剪定をしたり、育て方のコツを伝えたりしている。桜と違い、紫藤は心を込めて育ててあげなけらばならない。「枝や葉が多すぎると、花のつぼみに太陽が当たらず、次の年の開花にも影響する」という。上海の空港で乗り継ぎをするだけの時でも、「我が子」を見るために、わざわざ紫藤園にやって来ることもあるという。
「上海の市民がこんなに紫藤が好きで、大切にしてくれているのを見ると、とても幸せでありがたい。だから、できるだけのことをして、紫藤の花を毎年満開に咲かせ、みんなにそれを鑑賞してもらいたい。この公園が嘉定に住んでいる人に永遠に愛される存在になればと思っている」。今年85歳の藤本さんは、「あとどれくらい生きられるか分からない。嘉定が紫藤の手入れをする専門チームを立ち上げ、そのチームに手入れの技術や経験を余すことなく伝えたい」と話す。今年2月末、藤本さんの勧めと手配で、剪定の技術を学ぶために嘉定紫藤園の技術者3人が和気町を訪問した。紫藤の剪定は通常1月末に終わるものの、中国の技術者に実際の剪定を体験してもらおうと、藤本さんは特別に和気町の剪定前の藤の枝を残しておいたという。
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