世界の乳製品市場は価格上昇トレンドにあるとみられる。乳製品の産地で生産量が減少しているのが主な原因だ。食品・農業分野を得意とする金融機関ラボバンク・ネダーランドはこのほど、世界の乳製品に関する最新の報告書を発表した。それによると、過去6カ月間で世界の乳製品価格は45%も上昇し、世界の乳製品原料の生産量や情勢の判断を踏まえると、2017年も国際市場では乳製品価格の上昇が続く見込みという。「広州日報」が伝えた。
過去2年間、中国では乳製品原料が供給不足で、国内と海外で価格に開きがあるため、国内の乳製品価格が国際乳製品原料貿易による打撃を受けてきたことは明らかだった。だが今年の状況は違う。業界ウォッチャーは、「国内の乳製品の生産量は増加し、価格も上昇した。多くの牛乳製品の末端販売価格は5%から10%の範囲で緩やかに上昇している。三線都市や四線都市では乳製品消費市場の拡大ペースが非常に速い」と説明する。
世界の乳製品原料の生産量が減少していることは明らかで、世界の7大原料輸出エリアのうち、北米エリアを除く6エリアで16年下半期は生産量が大幅減少した。生産量は前年同期比約260万トン減少し、これによって輸出量の約450万トンの減少を招いた。
▽大手産地の生産量減少が主要因か
生産量の減少にはいくつかの原因がある。まず欧州連合(EU)欧州委員会が昨年7月、牛乳の生産量の一時的な減産計画を決定したことがある。牛乳の需給バランスをはかり市場価格を安定させるための措置だ。これに先立って欧州では牛乳の割当制度が解禁され、過去2年間、欧州の牛乳は「量は十分、価格は安定」という強みによって国際市場で多くのパイを勝ち取ってきたが、買い取り価格の低下に酪農家は抵抗していた。それからオーストラリア最大の乳製品加工メーカーのマレー・ゴールバンが16年に乳製品価格が底を打った際、買い取り価格を引き下げたため、酪農家が牛を処分したり酪農経営から撤退したりするなどの事態が発生したことがある。さらにオーストラリア、欧州、北米などにかなりの市場を奪われたとはいえ、ニュージーランドは今なお中国にとって乳製品の最大の輸入源だ。中でも小麦粉が中心だが、昨年のニュージーランドは各地で自然災害が起こって生産が難しくなり、生産量に影響が出た。
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