日本映画が世界に革命を起こす時代は終わり、その座は、アニメや顔面偏差値の高いさわやかなアイドル、悲しい青春時代やちょっとした幸せを描く作品に奪われたとの声もある。しかし、そのようなネガティブな見方は現実とかけ離れているわけではなく、ここ数年日本で大人気になっている映画は、人気漫画や小説を原作とし、さらにアイドルを起用することで、原作とアイドルのファン両方を抱え込んでしまう作品が多いものの、目立つ存在である顔面偏差値の高いアイドルたちだけが日本映画の中心というわけではなく、不器用な青春を描く山下敦弘監督、癒し系映画の沖田修一監督、深みのある作品で知られる是枝裕和監督、80歳を過ぎてもコンスタントに作品を作り続ける山田洋次監督などもおり、それらの作品では悲しみと喜びが入り混じる独特な手法で、歴史や家族に潜む光と影が描き出されている。(文:柳青。文匯報掲載)
日本映画の最大のメリットは、シンプルなもの、含みのあるもの、若手俳優ぞろいのもの、ベテラン勢がそろったもの、かわいさを売りにしたもの、厳粛な雰囲気のものなど、どんな作品であっても他の国の映画とは異なる雰囲気を醸し出している点だ。そのような「日本映画独特の味」は、日本社会にある人情、世情から自然とにじみ出ているもので、商業映画界の良好な発展の土壌のもとで、培われてきた自由な表現の表れでもある。一見ポップな楽しみにしか見えない顔面偏差値の高いアイドルなどもアートの足を引っ張る存在とは見られない。発展した商業映画に原罪はなく、産業全体が良好な発展段階に入ると、過度に傑作を追求する野心は消え、クリエーターたちがあたたかい気持ちで、作品の規模にかからず、商業映画一作一作に向き合う。そのような環境でこそ、作品の多元化が実現でき、そのような環境でこそ、芸術にとって寛容な土壌を提供することができる。
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