▽観光の宣伝はすぐに効果が出るものではない
入境観光の宣伝はきちんとしたものでなければならない。中国科学院地理科学・資源研究所の鐘林生副研究員は、「国内と海外では鑑賞の仕方が異なり、私たちは外国人が『理解できる』言葉で外国人観光客を呼び込まなければならない」と話す。王処長は、「人が違えば見るものも違ってくる。そこで様々な層、異なる国、異なる言語に対して、それぞれ観光宣伝コピーをうち出し、毎年違うテーマを設定する必要がある。北京などはイメージの位置づけを一言でまとめるのは難しい」と話す。
観光の宣伝は「自分のことばかり」ではいけない。世界観光都市連合会の厳■(日へんに含)副事務局長は次のような例を挙げる。以前に世界的に有名なブロガーを長城観光に招いたところ、ブロガーは長城が平べったくみえる位置で写真を撮ってネットにアップし、大きな注目を集めた。「これは、あなたも私と同じように観光資源を楽しむことができるということで、強い連帯感を抱き、幸福感が生まれるやり方だ。多くの観光地が宣伝に失敗しているのは、自分たちの資源がどんなものか語るばかりで、観光客に何をもたらすかという視点が欠けているからだ」と話す。
▽観光客に恩恵があれば産業は発展する
鐘副研究員は、「海外で買うと安いものがたくさんあるのは、免税だからだ。これは逆に言えば、外国人観光客が中国で買い物をすると、自分の国で買うよりも高くなるということだ。外国人も比較をする。私の知り合いの英国人が買い物した時、中国人の友達から中国で買うと自分の国で買うよりも高くなるので、中国で買う必要はないと注意されたという」と話す。
2015年7月1日、北京市と上海市は海外からの観光客の買い物について出国時税還付政策を実施した。外国人観光客は出入国地点で中国を出国する際、購入した税還付対象商品について増値税(付加価値税)の還付を受けられるというものだ。王処長は、「これまでに北京での1件あたり還付額の最高は91万元(約1408万円)だった」と話す。
だが王処長は、「北京市の税還付政策は対象商品の種類、数量・金額、利便性などを海外でのケースと比較すると、まだ一定の開きがある。たとえば日本では店で清算するときに還付を受けられる。中国では、飛行機に乗ってから還付に思い至る人もいて、この場合は諦めるしかない」と指摘し、「北京市に税還付スポットを複数設けるか、観光客が行きの飛行機に乗ったらすぐ税還付のやり方を書いたカードを配るべきだ」と提案する。
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