中国共産党第18期中央委員会第5回総会(五中全会)で、2人目の出産を解禁することが決定され、中国の人口政策は重要な転換点を迎えた。この政策の調整によって、不動産業にはどのような影響がもたらされるのかが議論の的となっている。取材によると、「2人目解禁」の不動産業界に対する影響には、以下の4つがある。北京晨報が伝えた。
影響(1)不動産購入のニーズ増加
英不動産大手サヴィルズの市場調査部門シニアマネージャーの董月氏は取材に対し、「2人目出産の解禁に伴い、中国の人口増加が後押しされる。人口の増加により不動産ニーズの総量が増加し、黄金時代を過ぎて白銀時代に入った不動産業界の安定的かつ健全な発展を後押しする重要な原動力となる」と指摘した。
影響(2)4部屋タイプが主流に
現在、中国の不動産の間取りの主流は2部屋タイプと3部屋タイプだが、2人目の出産が全面的に解禁された後は、4部屋、5部屋タイプが主流となるだろう。不動産大手・中原地産のチーフィアナリスト・張大偉氏は「現在の家族構成から見ると、両親が1部屋、子供が1部屋、老人が1部屋で、3部屋タイプがニーズに合っている。しかし子供が2人になれば、3部屋では足りなくなる。子供が小さいうちは二段ベッドで何とかなるが、大きくなれば、性別が同じでもそれぞれの空間が必要になる。そうなれば、両親が1部屋、子供が1人1部屋、老人が1部屋となり、3世代同居なら4部屋が必要となる」と指摘する。
影響(3)経済的プレッシャーが出産意欲に影響
鏈家地産研究部の李巧玲氏は「2人目出産の解禁は人口増加に有利に働くが、全ての出産可能年齢の女性が2人目を欲しがるとは限らない。経済的・時間的な問題が出産意欲に大きく影響する。2人目出産によって経済コストだけでなく、機会コストや時間的コストもかかる。同じ条件ならば、経済的プレッシャーが少ないほど出産意欲は高く、仕事のプレッシャーが少なく、時間的余裕がある人ほど出産意欲は高い。地域別に見ると、住宅や扶養コストが高い一線都市、一部の二線都市では、三〜四線都市よりも2人目出産意欲が低い」と指摘する。
影響(4)学区の住宅の争奪戦がより熾烈に
子供が2人の家庭にとって、子供の教育は重要であり、両親が最も心血をそそぐ部分となる。易居智庫の厳躍進・研究総監は、「2人目出産の解禁後、各地の学区の住宅の地位がより確固たるものとなる。学区の住宅および入学許可の争奪戦がより激しくなるだろう。一部の保護者は高い教育資源が保障される学区の住宅を事前に購入しようとしており、学区の住宅の価格がつりあがっている」と語る。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年11月19日