業界の見方「制作には普遍的価値が必要」
2003年から、尤小剛が撮影した「秘史」ドラマシリーズは海外でのマーケティングに成功した。何度もヨーロッパのテレビ大賞を受賞し、東ヨーロッパと中東エリア両方のテレビ局で放送権を買い取り放映しており、更に北米の一部の図書館にも収蔵されている。彼からすると「秘史」シリーズが彼自身の海外市場への足掛かりになったキーポイントは、「外国人と海外在住の中国系の人が中国の歴史を探求することに興味津々であるためだ。秘史ドラマはテレビドラマだが、きちんとした歴史感覚とドラマの葛藤を兼ね備え、色濃いヒューマニズムの色と紆余曲折なストーリー展開があり、様々な地域、好みの視聴者から受け入れられている。中国ドラマの海外進出は必ず制作から着手し、様々な国の視聴者共通の興味をそそるポイントつまり普遍的価値を探し出すことが必要」と話す。
2008年、尤監督の歴史ドキュメンタリー「前清秘史」はロシアのキー局で放映された。中国映画・ドラマ作品が海外進出する際の問題に言及した際、彼は「ドキュメンタリーはテレビドラマより優位性がある。宮廷ドラマ、時代ドラマが国外に出ると、ドラマストーリーの要素が非常に複雑で主流になりにくい。歴史ドキュメンタリーはより簡単に国外の視聴者に受け入れられ、歴史的事実の解釈もより正確だ。そのほか、国外の視聴者は恐らく中国の真実を伝えるテレビドラマにより興味を示している」という。
ドラマコメンテーター「ジャンルが限られることや粗末な作品が障害」
多くの中国産ドラマが海外進出しているが、実際のところは「安売り」である。海外販売価格は非常に低く、1話1万元(1元は約19.2円)であればよいほうであり、多くは1話数千元である。業界関係者の一般的な見解は「国産ドラマの輸出は安価で放映の影響力も限られている」としている。
北京国際著作権取引センターのデータによると、国産ドラマの主な輸出先はアジア太平洋地域、特に東南アジアが中心である。2013年、中国ドラマの輸出総額は1億5百万ドル(約129億円)で、韓国ドラマの中国輸出額とほぼ同じである。同年、韓国ドラマの世界に向けた輸出総額は1億5千万ドル(約184億円)だ。何人かのドラマコメンテーターに取材したところ、彼らは「ジャンルが限られ、粗末な作品が多く、目新しい特徴もなく、流行に流されているものが多い。それこそが国産ドラマに立ちはだかる障害である」と語った。(編集JK)
「人民網日本語版」2015年11月16日