もう一つは多くの中国人観光客は国外の製品はより品質保証があると感じている。ここ数年来、一部の中国製の品質はばらつきやコンプライアンス違反の低コスト問題があり、「毒入りミルク」など劣悪事件が一部で国産製品に対する信頼を著しく傷つけた。以前は国外の主な買物品は高級品だったが、ここ数年ミルク、電化製品、米、便座などの生活用品の買い漁りにシフトして、国産製品の品質向上と消費者のニーズの向上の間の亀裂が徐々に大きくなっていることがうかがえる。
これらの2つの要素が作用した結果が中国は2009年以来観光サービス貿易赤字が拡大し続け、2014年には1000億ドル(約12兆円)を突破し50倍にも増加させた。メディアのいうところの「世界最大の観光サービス貿易赤字国家になった」のである。中国は早急に国民の国内での購買力の放出に尽力しなければいけないことはすでに基本的な共通認識になった。
1兆元(約19兆3千億円)を超えた利益流出の歯止めをかけるには中国国民の巨大な潜在的消費力を国内に放出させ、たくさんの分野において中国製への信頼を向上させる必要がある。まず高品質の中国国産ブランドを創出するための環境を整備し、徐々に「製造大国」から「ブランド大国」にシフトさせ品質の高い国産製品によって人々の心を取り戻すことだ。消費者ニーズの研究と尊重を基礎として、科学技術革新、技術向上などを通して、中国製の粗末な製品、偽造・模倣品、危険というマイナスのイメージを払拭する必要がある。
次に、国内消費環境を更に最適化させ、価格差を低くし、国民が国内で消費する意欲を高める。事実、多くの国産製品の品質はすでに「外国ブランド」に負けておらず、一部の観光客があたふたと大金をはたいて買って帰る便座や米などの本当の産地は中国国内だ。観光客が国外の買物に群がるのは「安い」「お得」だからだ。そのため、税率の調整を行ない、国内の外国製品の「価格逆転」を是正すること。もう一つ、免税事業を多元的に推進し、主要な商業都市市内に免税品店を展開することだ。