高級携帯電話サービスを提供しているVertuがこのほど、中国企業に買収された。
2012年、浙江省のある企業家がVertuを買収する意向を示したものの、オーナー企業だったノキアが拒否。「中国企業には売らない」とした。しかし、英紙「ファイナンシャル・タイムズ」によると、香港の基金会社「GodinHolding」と共同で、中国人個人投資家がこのほど、Vertuを買収した。Vertuは具体的な内容については明らかにしていない。
Vertuに接触し、デュー・ディリジェンス調査にも参加した李毅(仮名)氏は取材に対して、「Vertuは昨年から買い手を探していた。我々も接触したことがあるが、我々が得たデータでは、Vertuの財務状況は非常に悪い。倒産の危機にあるほどで、売却するしかなかったという状態」と説明した。
そして、「Vertuは、お金があるだけでなく、背後に富裕層の顧客を抱え、同社の今後の発展を支えてくれる買い手を探していた」とし、今回の中国人投資家の買収について、「単なる経済的な投資であれば、Vertuの現在の危機を救うことはできない。また、戦略的投資家で、多くの顧客を抱えていても、それをVertuの顧客に回せるかという問題が残り、課題も多い」との見方を示す。
ラテン語のVertuは、「美徳」という意味があり、ノキアが1998年に出資して英国で立ち上げられた。コンセプトは、「富裕層向けの高級携帯電話ブランド」。職人の手作りによるプラチナやサファイアなどの宝石、金などをちりばめたデザインが特徴だ。12年、スウェーデンに拠点を持つ投資ファンドEQT VIに2億ユーロで株式の90%を売却することで合意した。当時、ノキアは、主製品であるスマートフォン事業の再起をかけた。そして、Vertuの一部の株式の保有を続けた。
Vertuは02年に初の機種を発売してから15年までに、世界で45万台の携帯を販売してきた。昨年の同社の携帯の平均価格は、5000ポンド(約93万5千円)だった。最高で20万ポンド(約3740万円)以上の機種もある。
Vertuは中国人ユーザーも多く抱え、そのほとんどが企業経営者だ。Vertuのマッシミリアーノ・ポリアーニ最高経営責任者(CEO)は以前、「当社の欧洲やアジアで高いシェアを抱える。中国は当社にとって最も重要な市場」と語っていた。
「人民網日本語版」2015年11月6日