邱義松さんは「80後」(1980年代生まれ)の若者だ。彼は2014年7月に母親を伴って石家荘を出発し、中国一周の自動車旅行に出かけた。彼らは3万キロ以上を走破し、中国の22省を訪れた。北は黒竜江省の北極村から南は海南省三亜まで訪れ、香港や澳門(マカオ)も訪れた。旅行の間、互いだけを頼りとする親子2人を中国一周の旅行に向かわせたのは何なのだろう。
2010年、大学を卒業したばかりの邱さんは自動車事故に遭い、左足を切断しなければならなくなった。同年、ガンと診断された父親が亡くなり、二重のショックに打ちのめされた彼は、今のうちに親孝行する決心を固めた。
「仕事は後でもできるが、親孝行は後からではできない。母親がまだ元気なうちに、幸せを感じて欲しい」。邱さんは事故の賠償金を受け取ると、仕事を探したり家を買ったりした方がよいという親戚や友人のアドバイスにはかまわずに、自動車を1台購入し、母親を連れて右脚だけを使って運転して、全国一周の旅を始めた。
「最初は母親もこの『キチガイじみた』決定に大反対した。母は私が安定した仕事を見つけ、妻を迎えて堅実な日々を過ごすことを願っていた」。邱さんは母親の手を取って、他の事は後回しに出来るけれど親孝行は後回しには出来ない、後で後悔したくないと真剣に訴えた。
最後には母親も息子の心を理解した。「息子がいるところが私の家でもある」。
「夢のある人は青春の中にいる。夢を追求する道は孤独ではない。ビデオに撮影された人たちの笑顔が、私と母親の旅行に寄り添ってくれる」。邱さんは、自分の限りのある人生の中で、この世界の暖かさを心に刻みたいと語る。(編集YH)
「人民網日本語版」2015年5月12日