視点を変えた比較は、大作映画の投資回収率が高いという固定観念を打ち破り、低予算映画で大きく利益を上げるというのがこの1年の映画界のキーワードとなった。近年で、国内の投資回収率が最も高かったのは、2012年の「人再囧途之泰囧(原題)」(ロスト・イン・タイ)だ。制作費5000万元(約9億6000万円)で中国映画史上最高の12億元(約231億円)の興行収入をたたき出し、990%の回収率を達成した。業界関係者の分析によると、「人再囧途之泰囧」の成功は決して偶発的なものではなく、ここ数年で築かれた低予算コメディ映画の市場や経験が積み重なったことによって引き起こされた記録的なヒットであるという。同時に、集中的な宣伝広告も効果を上げており、広告は、「人再囧途之泰囧」の投資コストの半分を占めている。2013年と2014年の投資回収率が最も高かった国産映画は、スパイコメディ「厨子劇子痞子」とバラエティ番組の映画化「パパ!どこ行くの(原題)」で、回収率は800%を超えた。
データを見ると、投資回収率は映画のジャンルによって偏りが見られる。毎年、投資回収率ランキングの5位以内に入るのは、基本的に半分以上がコメディだ。口コミ評価が散々だった「分手大師(原題)」(The Breakup Guru)でさえ473%の高い回収率を誇っており、同年に公開された「智取威虎山(原題)」の89%を遥かに上回っている。コメディ映画以外で回収率ランキングの上位を占めているのが都市型恋愛映画あるいは青春恋愛映画のジャンルだ。「杜拉拉升職記(原題)」「単身男女(原題)」「小時代(原題)」「So Young ~過ぎ去りし青春に捧ぐ~」なども数多くの大作映画を上回る、かなり高い投資回収率を達成している。業界関係者は、「これらの高い回収率を誇る映画は、主にコメディや恋愛をテーマにした低予算映画で幅広い観客を対象にしている作品が多い」と分析する。