「中国からの外資撤退に歯止めがかからない」との見方が、このところ頻繁に見受けられる。中国商務部(省)は16日、この「外資撤退ブーム」論をきっぱりと退け、第1四半期(1-3月)、新たに設立された外資系企業の増加率は22.4%、実行ベース外資導入額の増加率は11.3%だったことを明らかにした。新京報が伝えた。
商務部の沈丹陽報道官は、16日に開かれた商務部定例記者会見において、「外資の撤退現象は確かに存在するが、『ブーム』までには至っていない」との認識を示した。
沈報道官が示した統計データによると、今年第1四半期、中国における実行ベース外資導入額は2145億7千万元(1元は約19円)、前年同期比11.3%増(銀行、証券、保険業のデータ含まず)。新たに設立された外資系企業の数は、同22.4%増、撤退した企業の数は17.6%減少した。投資額を縮小した企業の数も、同35.7%減。製造業分野での撤退企業数は11.8%、投資額を縮小した企業の数は37%、それぞれ減少した。
沈報道官の談話内容は以下の通り。
国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した「世界投資報告書」によると、2014年、中国が導入した海外からの直接投資は約1280億ドルに上り、初めて世界一となった。また、上海米国商会が取りまとめた「2015年中国商業調査」によると、調査対象企業のうち、2014年、中国事業で黒字を達成した企業は73%、収入が増加した企業は75%にそれぞれ達し、2015年に対中投資を拡大する計画をしている企業は67%に上った。さらに、今年第1四半期、全国における実行ベースの外資導入額は前年同期比11.3%増加した。
これらのデータから、中国における外資投資環境は、変わらず十分な競争力を備えていることが分かる。「外資撤退ブーム」論がこのところ盛り上がっている現象は、新常態のもとで、外資の資金投入構造に変化が発生していることと関係がある。ひとつの顕著な変化として、2001年から2014年の間、中国サービス業の外資導入額が占める割合が、24%から55.4%にまで上昇したことが挙げられる。製造業における外資の新規導入は、規模・比率いずれもが低下し続けている。製造業では、一部の外資系企業が中国業務の調整に取り組んでいるが、このような情勢を「外資撤退ブーム」と呼ぶことには、何の根拠もない。