財政部(省)は5日、今年の中央・地方予算草案報告を提出した。これによると中国の国防予算は今年、昨年比10.1%増の8868億9800万元(1元は約19.3円)に達する。国防予算拡大は5年連続だが、増加率はここ5年で最低となった。この軍費予算とりわけ増加分の使い道には大きな注目が集まっている。この問題をめぐって、複数の軍の専門家を取材した。環球時報が伝えた。
▽軍内の待遇が引き続き向上
国防費用について最も権威的な紹介を行っているのは、2年に一度発行される「国防白書」である。これによると中国の国防予算は主に、「人員生活費」「訓練・維持費」「装備費」の3つに分かれる。このうち「人員生活費」は士官や文官、兵士、職員らの賃金・保険・食事・衣類・福祉など、「訓練・維持費」は部隊の訓練や教育、施設の建設や維持、日常消費など、「装備費」は武器装備の研究・試験・調達・メンテナンス・輸送・保管などの費用を指す。
中国国家安全フォーラムの彭光謙・副秘書長によると、国防予算の拡大はこの3つをバランスよく行うべきだが、重点となるのはやはり装備費だ。装備費を重点とするのはどの国も同じである。
▽演習の難度の高まりでコストも上昇
解放軍の実戦的な訓練の実施という背景の下に、訓練・維持のための支出が増加傾向に入っている。
中国軍は2013年には40回の大型演習を行ったが、2014年には全軍と武装警察部隊で合計200回余りの師団・旅団規模以上の実兵演習を行った。外国との二国間・多国間の軍事演習の回数も増加している。二国間・多国間の共同演習訓練は2013年の17回から2014年には31回に増えた。「解放軍報」によると、今年は、軍区を超えた基地化訓練の規模や範囲がさらに拡大され、レベルの向上もはかられる。演習の回数や規模の拡大には堅固な経済的土台が必要で、国防費用の支出もこれに応じて増えている。