日本の財務省が9日に発表した2014年の国際収支速報によると、日本と海外とのモノ、サービス、投資などの取引状況を反映する経常収支の黒字額が2兆6266億元(1元は約18.7円)となり、比較可能なデータがある1985年以降で最低となった。前年に比べて18.8%減少し、日本の経常黒字は4年連続で減少した。人民日報が伝えた。
日本の経常黒字は07年に過去最高の24兆9490億円に達したが、ここ数年は年々減少している。共同通信社は、日本は外貨獲得能力を強化する必要があると分析する。
記録的な貿易実物取引の赤字が日本の経常収支の足を引っ張っている。14年の貿易赤字は10兆3600億円に達して、前年比1兆5900億円増加した。消費税率引き上げ前の駆け込み需要や円安による燃料の輸入価格上昇の影響で、昨年の日本の輸入額は同10.3%増加した。輸出は2年連続の増加だったが、増加幅は輸入をやや下回る9.3%にとどまった。
サービス貿易をみると、昨年の海外からの訪日観光客は1341万人に達して同29.4%増加したが、観光収入(外国人観光客が日本で消費する金額から日本人観光客が海外で消費する金額を差し引いた金額)は引き続き3兆9千億円の赤字だ。現在の外国人観光客の増加ペースを維持すれば、日本の観光収入は年内に赤字から黒字への転換を達成するとみられる。また日本企業の海外投資による収入と知的財産権による収入の黒字が今年はいずれも過去最高を更新する見込みで、ここから対外投資と技術移転において日本になお強みがあることがわかる。
市場の分析によると、昨年下半期の原油価格の暴落にともない、今年の日本の貿易赤字は縮小して、経常黒字の拡大にプラスにはたらくという。
注目に値するのは、ここ2年間の40%に及ぶ円安が期待されたほど日本の輸出を後押ししていないことだ。みずほ総合研究所市場調査部の長谷川克之部長は、「ここには日本の輸出構造の変化が反映されている。第一に、輸出の『現地化生産』の割合の増加だ。たとえば日本の自動車メーカーが米国に輸出する自動車は主にメキシコで生産され、日本現地で消費される自動車の大部分はタイの工場から輸入される。第二に、日本の輸出の主力がこれまでの完成品から『中間製品の部品』へと変わっている。たとえばアップルの携帯電話の中国での受託生産工場にコア部品を輸出し、中国から完成品を輸入すれば、統計上は中国の黒字となる。さらに円安で中間部品の価格を引き下げることが難しいため、輸出の数量や金額を伸ばすことも難しくなっている」と話す。
日本の共同通信社は、「将来も黒字を維持し、経済成長を促進するよう確保するには、日本は付加価値の高い製品の研究開発や生産を推進し、外貨獲得能力を強化する必要がある」との見方を示す。長谷川部長は、「『アベノミクス』の成長戦略が飛躍を遂げるには、日本経済の外貨獲得能力を回復させる必要がある。そのためには日本は構造改革を着実に実施し、産業の新陳代謝とベンチャー起業の能力を加速的に発展させなければならない」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年2月11日