持続的な円安が、かつて製造業のグローバル化を早々と実現した日本の製造業企業を不安定にさせている。パナソニックの津賀一宏社長は米国で開催中の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー2015」でメディアに対し、「家電をめぐり『日本での製造、アジアへの輸出』という新プランを実施し、中国など海外で行っている家電の生産を日本国内に回帰させる」と発言した。パナソニックだけでなく、シャープの高橋興三社長も6日、「シャープも海外の家電工場の生産を日本国内に回帰させる計画だ」と述べた。「北京晨報」が伝えた。
消息筋によると、パナソニックの回帰リストには、中国にある洗濯機の生産の一部、電子レンジの生産、家庭用エアコンとドラム式洗濯機の生産の一部が含まれる。シャープは液晶テレビと空気清浄機などの生産の一部を回帰させる可能性がある。これまでシャープの40インチ・50インチを中心とした液晶テレビは中国などの工場で生産・組立が行われてきた。両社とも中国市場に対し具体的にどのような調整を行うかを今はまだ明らかにしていない。
日本の製造業の国内回帰がトレンドになりつつある。日本メディアの報道によると、この家電大手2社以外にも、中国に25カ所の生産拠点を構える電子部品メーカーTDKはスマートフォンや自動車の電子部品の生産を中国から日本へ回帰させたい考えだ。また空調のダイキン工業はすでに家庭用エアコンの生産の一部を中国から滋賀県にある工場へ移したという。
1980年代、円高の影響を受けて日本企業は生産拠点の大規模な海外移転をスタートした。今回の回帰の動きも円相場と密接な関係がある。日本政府は日本銀行(中央銀行)の大々的な支援を受けて、可能な限り円安を推進し、海外で生産し日本に再輸出される製品の価格的優位を崩してしまった。
これと同時に、中国のコストが上昇を続けていることも、日本企業が生産拠点を中国から移そうとする原因の一つだ。中国の人件費は年々上昇しており、日本企業は中国の膨大な人口によるメリットを失った。また05年以降、人民元建ての貿易加重レートが約35%上昇し、中国での製造がより付加価値の高い産業チェーンの上部へと押し上げられている。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年1月14日