この日から数日間、紀教授は意外にも頻繁に日本人の中国への友好を感じる機会があった。横浜では、創価学会が主催した「文化の恩国――中国展」を見に行った。展覧会の中では、南京大虐殺では30万人の中国人が殺されたと明確に記載されていただけでなく、大きなスペースをとって、日本文化の源流は中国であることの説明がされていた。ここからも、紀教授は、池田大作氏が日本人を代表して、過去に犯した罪を明確に認識し、中国の歴史や文化に対して高く評価していることを感じ取った。
■スムーズで快適な交流
海外において、池田大作氏は周恩来の心に最も影響を与えた人物だ。国際舞台であろうと、創価学会内部であろうと、池田大作氏は常に周恩来総理の国民を思う気持ちに学ぶことを人々に呼び掛けている。池田氏の影響を受けた多くの創価大学の卒業生たちは、卒業後に中国留学を選択する。その中でも、多くの人が選択する大学に、周恩来総理の母校である南開大学がある。
交流をしていくうちに、紀教授は、日本の学生には多くの長所があることに気付いた。日本の学生は、自ら進んで交流を図り、交流する前にはしっかりと準備をする。一人一人非常に自立しているが、新しいことを試す際には、素早く団結して、集団で協議をして行動する。中日の学生がそれぞれの良いところをお互いに学べるようにと、紀教授は中日学生たちのために、小さな組織をつくり、不定期的に、人数を特定しない活動をさせる場を作った。
初めての交流の場では、中日学生はともに明らかに緊張しており、交流会は若干盛り上がりに欠けていた。しかし、交流が次第に深まると、雰囲気も徐々に良くなっていった。若者たちはともに学び、遊び、すぐに友人となり、国籍の違いも忘れていった。
2006年12月5日、周恩来総理と池田大作氏が会談して32周年を迎えた記念日に、南開大学で「周恩来・池田大作研究会」が設立され、周恩来・池田大作の思想と実践を研究する国内初の学生による学術サークルとなった。