APECの重要な柱の1つは貿易の便宜化で、「うち、税関の通関手続きの簡素化が最優先事項」と劉センター長は語る。
APECの下に設置されている税関手続小委員会(SCCP)は、APECメンバーの税関の管理体制を現代化する点で、大きな成果を収めている。APECメンバーである中国の税関も近年、サプライチェーンの連結強化や輸出入・港湾関連手続のワンストップサービス、eコマース(電子商取引)、知的財産権、リスク管理など、APECで度々取り上げられている分野をめぐり、他のAPEC参加エコノミーと意志の疎通を図り、協力を進めている。港での輸入検査や貨物の通関速度の向上、手続きのマニュアル化、事務のぺーパーレス化、法執行基準の相互認定などにより、通関手続きのスピード化、規範化が進んでいる。
APECメンバーが立ち上げている電子ポートのモデルプロジェクトもあり、ハイテクを利用して通関手続きのスピード化が進められている。今年のAPEC会議では、上海自由貿易試験区の電子ポート管理をモデルとした、統一したアジア太平洋地域電子ポートを立ち上げ、アジア太平洋地域の各国が指定する都市を、電子ポートネットワークのメンバーとすることが話し合われることになっている。実現すれば、中国の国民や企業にも恩恵が及ぶことになる。
【ビジネス】 19のエコノミーを自由に往来できるABTC
1997年よりABTC計画実施
空港でABTC専用レーン(ブース)を見かけたことがある旅行者も少なくないだろう。APECは1997年より、ビジネス関係者の移動を円骨にするため、APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)計画を実施しており、同カードを有していれば、ビザなしで入国審査を受けられる。
ABTCの有効期間は3年で、その間は有効なパスポートを持っていれば、ビザを取得することなく、入国が許可された各APECエコノミーの間を自由に往復することができる。また、入国の際もABTC専用レーンで入国審査を受けることができ、とても便利だ。
中国は2002年からABTCの制度に参加。04年から、中国企業のスタッフに対するABTC発行と、他のエコノミーからの申請受付を始めた。