中国工商銀行(アジア)有限公司は10月14日に韓国で、1億8000万元(約31億4千万円)規模の人民元建て債券(2年物)を発行する。表面利率は3.7%。韓国KDB傘下の大宇証券が代理販売し、中国工商銀行ソウル支店が債券の清算を担当する。中国系金融機関が韓国証券取引所で、人民元建て債券を発行するのはこれが初めてで、韓国証券取引所が人民元建て債券の取引を正式発表してからわずか2週間での実現となった。韓国友利銀行は9月10日に率先して、2億元(約35億円)規模の2年物債券を発行していた。韓国市場の一連の人民元建て業務は、韓国の人民元に対する重視を示している。人民日報が伝えた。
中国工商銀行ソウル支店総経理の韓瑞祥氏は、「今回は大規模な発行とはならなかったが、大きな意義を持つ。これは韓国がオフショア人民元センターの建設で重要な一歩を踏み出し、中国系金融機関の海外債券発行が新たな選択肢を手にしたことを意味する」と指摘した。
各国では、それぞれの国の象徴に基づく名称で人民元立て債券の名がつけられている。シンガポールでは獅城債(注:獅城はシンガポールの別称)、フランクフルトではゲーテ債といった具合だ。人民元建て債券は韓国で、最も韓国らしい「キムチ債」と呼ばれている。
韓国の金融界において、中国資本はあなどれない影響力を持っている。中国の投資家は昨年12月から今年5月にかけて、韓国の有価証券市場に1兆4120億ウォンの資金を注入し、各国の投資規模の中で最大となった。今年9月現在、韓国国内の人民元建て預金残高は100億ドルを突破し、初めて韓国国内の外国人在住者の外貨資産残高の20%を突破した。人民元建て預金残高は、1年間で約50倍に激増した。
中韓両国の貿易規模が拡大を続け、韓国市場の人民元の需要が増加を続けている。債券市場の発展は、ソウルの人民元オフショアセンターのピースを補う。韓国は現在、人民元オフショアハブの通貨スワップ、指定決済銀行、人民元海外機関投資家としての資格を有しており、年内にも人民元・ウォン直接取引市場を設置する見通しだ。人民元債券市場の形成は、韓国が人民元クロスボーダーハブとしてのインフラを整えていることを意味する。韓国資本市場研究院の黄世運氏は、「中韓両国の貿易規模が拡大し、人民元の流入が増加を続ける中、韓国は人民元オフショアハブとしての条件を備えつつある。人民元建て債券の韓国での発行により、韓国の人民元オフショアセンターとしての地位が強化され、人民元クロスボーダー取引も活発化する。同時に、韓国現地の投資家に、新たな投資先を提供する」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年10月14日