中米両国元首間の共通認識を実行に移し、公海海域の海空軍事安全行動規範の策定を推し進めることを目指して、このほど中米間の作業部会が米国で開かれた。(人民日報「鐘声」国際論評)
作業部会開催の数日前に、南中国海上空で両国軍用機が「すれ違う」事態が再び生じた。8月19日、中国・海南島の東220キロ付近の空域で接近偵察を行っていた米海軍のP-3対潜哨戒機1機とP-8哨戒機1機に対して、中国戦闘機が通常の識別・調査を行った。
事件発生後、米政府は両軍機の接近距離など技術的問題にこだわり、事件発生の責任を中国側に転嫁しようと試みた。だが、中国側パイロットの操縦から見ても、事件の背後の是非曲直から見ても、中国側の対応は理にかなった根拠あるものだし、米軍のこうした偵察を友好的行動と見る人はいない。米側も今日の中国が、自国の「窓」に張り付いてのぞき見る外来者に対して無関心で、見て見ぬふりをすることを期待することはできない。その力がある国ならいずれも、こうした非友好的なやり方に対しては必要な防備・識別措置を講じるだろう。
2001年の中米両軍機衝突事件によって人々は、中米間で実際の衝突が最も発生しやすい場所が中国の「玄関先」であり、米側による大規模で高頻度な対中接近偵察こそが中米の海空の軍事的安全を脅かし、不測の事態を招く根本的原因であることをはっきりと認識した。近年、オバマ政権が「アジア太平洋リバランス」戦略によってアジア太平洋地域への軍事的投入をさらに増加したことに、人々は懸念をある程度募らせている。
ホワイトハウスとペンタゴンの高官は、米国は中国をライバルと見ておらず、中国封じ込め政策を取ることもあり得ないと繰り返し公言している。だが事実が繰り返し示しているように、米軍が中国の排他的経済水域(EEZ)に対する頻繁な接近偵察を止めるにはほど遠いのが現状だ。このように大規模な接近偵察が、米国が両軍関係さらには両国関係発展に向けた自らの約束を履行することに寄与すると、誰が信じよう?このようなやり方によって中米間の相互信頼は破壊され、米政府自身の国際的信望も破壊された。
米国の一部の人々は中国を不確定的パワー、アジアにおける米国のリーダーシップの潜在的競争者と見なしている。まさにこの戦略的認識ゆえに、米国の「アジア太平洋回帰」戦略は強い軍事的標的性を帯びている。これは米軍艦艇・航空機が頻繁に対中偵察活動を行っている重要な原因の1つでもある。
米軍艦艇・航空機による頻繁な対中接近偵察は、米国が依然「アジア太平洋地域における力の均衡を維持できる」ことをアジアの同盟国に向けて実証する目的が大きい。だが米政府が考慮に入れているかどうか知らないが、こうした行動は結果として中国の安全感を大幅に低下させており、中国の米国に対する信頼を高める助けにならないうえ、中米協力を制約するものであり、地域情勢の複雑性も高めており、、最終的には米国自身の利益を損なうだろう。
中米の実際の衝突の再発を防ぐには、米政府が国際法と国際的慣例をしっかりと遵守し、沿岸国の安全保障上の懸念を尊重し、海空軍事安全問題における双方間の溝を適切に処理し、軍事行動を実施する際には相手国の感じ方と許容度を十分に考慮することが必要だ。中米の相互信頼を強化するには、「両国関係の発展にプラスのエネルギーを注ぐのに資することなら全て『足し算』の対象とし、その反対のことなら全て『引き算』の対象とする」という最も基本的な原則を遵守する必要がある。
中米両軍関係は両国関係を構成する重要な一部であり、双方は新型の大国関係の構築という大きな枠組みの下で新型の軍事関係を発展させるべきだ。南中国海上空の軍用機「接近」を常態化させてはならない。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年8月29日