中国は「中国医学」を目玉に医療観光を展開すべき

三亜市の砂浜でマッサージを受けるロシア人観光客

　韓国へ美容整形旅行に行き、「生まれ変わって」帰国する時にはパスポートの写真と全く違う顔になっている、という外国人観光客が増加している。そのため、整形を受けた外国人観光客がスムーズに出入国検査を通過できるようにと、韓国の美容整形クリニックは「整形証明書」の発行を始めたという。韓国の医療観光(メディカルツーリズム)、特に美容整形旅行は、世界的にも評判を得ている。また、世界の人気医療観光先を見ると、同じくアジアに属するタイ、インド、シンガポール、マレーシア、フィリピンが上位5カ国を占めている。一方、中国の医療観光産業はまだ発展初期の段階にある。データによると、中国国内の医療健康観光客の90％以上は、海外でサービスを受けることを選択しており、中国に医療観光に訪れる観光客の規模は、アジアの隣国と比べると、大きく水を空けられている。人民日報海外版が報じた。

　しかし、このような現状に近い将来大きな転換が訪れると予測されている。海南省は4月初め、中国初の医療観光を主とする第三次産業パーク「楽城国際医療観光先行区」を同省博鰲（ボアオ）に建設することを、国務院が既に認可しており、今後建設が全面的に始まると発表した。同省は、同地を世界の観光客が訪れる療養地にしたいと考えている。

中国の医療観光の現状と課題

　医療観光は、観光と医療を1つにした新しい旅行のスタイルだ。統計によると、2006年に延べ2000万人だった世界の医療観光客数は、12年に2倍の延べ4000万人に増加した。医療観光客が渡航先で使う費用は普通の観光客の十数倍になる。

　世界観光都市連盟（WTCF）の専門家委員会の魏小安・委員長は、「医療観光を発展させるためには、優れた自然資源や療養地以外に、高度な医療技術をも備えていなければならない。両者はどちらも欠かせない。多くの人が韓国に行って美容整形手術を受けるのは、韓国の同業界が世界でも有数の先進的なシステムを構築しているからで、この点、中国の道のりはまだ長い」と指摘している。

　現在、世界の100以上の国や地域が医療観光を展開している。「グローバル スパ＆ウェルネスサミット（GSWS）」と米研究機構「SRIインターナショナル」が共同で発表した研究報告によると、世界の医療観光産業の規模は13年、4386億ドル(約43兆8600億円)に達している、同数字は世界の観光産業経済全体の14％に当たる。この商機を逃すまいと、北京や上海などが医療観光発展に着手している。各地は10以上の地域性国際医療産業都市総合体を計画、建設、もしくは運営している。うち、北京市通州区にある北京国際医療サービス区は、世界を対象にした高度医療サービス区と位置づけられており、区内には老人ホームや養生会館、高級住宅コミュニティなどが設置されている。また、病院の近くに、患者の家族など向けのホテルもある。