米国のサイバー覇権を痛打した「PRISM」
スノーデン氏がついに再び姿を現わした。その行方は依然世界のメディアが注目する焦点だ。だがこれを「PRISM」事件の追及の矛先をかわす口実にすべきではない。米政府は依然、中国を含む多くの国々に対して理にかなった説明を行なっていない。「PRISM」事件の波及効果を米政府は依然コントロールできておらず、まだ広がり続けると見られ、インターネット秩序構築の新たな事例となるのは確実だ。(文:丁剛・本紙上級編集者。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
本質的に言って、この事件は現実世界の国際関係がインターネットのバーチャル世界へと持ち込まれていることの反映だ。そのより深い意味は、バーチャル世界の安全が現実世界の安全との結びつきを強めており、現実世界の安全を決定する重要な要素ともなっていることにあると考えられる。
だが同様にバーチャル世界も、どれほどバーチャルであっても、世界の大構造の変化の趨勢の影響を受ける。インターネットが世界の発展の基本法則に背いて存在、発展することは不可能であり、依然現実世界の制約を受ける。現実世界の国際関係の変遷過程で形成されたいくつかの共通認識は、バーチャル世界で遵守すべきルールとなりつつある。たとえこの強権が技術上どれほど強大だったとしても、インターネットは弱肉強食の原始林であるべきではないし、強権に支配させてもならない。
モデル転換中の世界秩序は旧時代の古い規範の束縛から脱する過程にあり、国際関係に昔あった覇権主義および「強者が全てをたいらげる」「強者が正しい」といった考えが依然一定の慣性を保っている。このため特定のインターネット技術強国が明らかに覇権を帯びたやり方をバーチャル世界に持ち込むことが避けられなくなっている。こうしたやり方はバーチャル世界に新たな混乱をもたらしただけでなく、現実世界の安寧も乱している。