しきりに一線を越える安倍内閣 国際社会は警戒が必要 (2)
■歴史がまだ清算されない中、捲土重来を期する右翼
日本右翼勢力の思い上がったのさばりは、単に国内政治上のニーズを満たすものでは断じてなく、より深いレベルの原因がある。第2次大戦後、日本の侵略の罪を徹底的に清算できなかったことで、今日の右翼勢力猖獗の種が残された。米紙ワシントン・ポストは「ナショナリズムの高揚に鼓舞されて、日本右翼勢力は主流サークルに近づきつつある。彼らはしきりに公人を脅迫する。その過激な手法は1930年代の状況とそっくりだ」と報じた。
米国が第2次大戦後故意に放任したことは、「虎を飼って災いを残す」結果になったと言える。米国はソ連勢力を封じ込めるため、日本を徹底的に清算するどころか、反対に日本をソ連と中国を牽制するための猛獣として飼い慣らすことを望んだ。カイロ宣言とポツダム宣言における日本懲罰の取り決めは、いい加減にあしらわれたと言える。マッカーサーの指導する連合国軍総司令部(GHQ)は平和憲法は制定したものの、天皇の戦争責任は追及しなかった。これによって天皇への精神的信奉が温存された。
ソ連・東欧の激変後、東アジアの構造には重大な変化が生じた。日本はずっと東アジアの覇者となるべく手ぐすね引いているが、長年の不景気によって自らの苦境を改善する「光明に満ちた道」を見いだせずにいる。中国はずっと日本が東アジアを支配するうえでの最大の障害、仮想敵国と見なされている。ニューヨーク・タイムズは「日本右翼勢力は影響力をどんどん拡大している。日本と米国の経済が下降するに伴い、中国と面と向かって対抗する必要があるとの共通認識が形成されつつある。日本は後ろ盾を得て恐いものなしとなり、大衆の怒りを買うようなことを大胆にし、中国、ロシア、各国などと頻繁に張り合っている」と報じた。