中国サッカーが日本サッカーに大きく水をあけられた要因
サッカー中国代表チームが15日に安徽省合肥市で行われたタイとの親善試合で1-5と大敗したことは、中国サッカー界に大きな負の影響を与え、その影響は今も尾を引いている。この1週間、中国サッカー協会は何度も会議を招集して敗因の分析を行い、対策を研究してきた。国家体育総局の指導者もこの件を非常に重視し、中国サッカー協会の幹部と何度も対談を行った。また、中国サッカー協会は元スペイン代表監督のホセ・アントニオ・カマチョ監督を成績不振のため解任することをすでに決定している。中国サッカー協会は21日夜、カマチョ監督と交渉を行ったが、違約金などの問題について双方の間でまだ話がついていない。「新京報」が伝えた。
(1)手段を問わないサッカーVS謙虚なサッカー
FIFA世界ランキングでアジア9位の中国は15日夜、同22位のタイの若武者たちに大敗を喫し、また一つ辛酸をなめた。恥ずかしむべきは試合に負けたことではなく、試合の背後に公に出来ない秘密があまりにも多く隠されている点だ。
元中国オリンピック代表チームの監督・沈祥福氏は1980年代に日本サッカーリーグ2部の富士通サッカー部(現在の川崎フロンターレ)に在籍した後、1991年から同クラブでコーチや監督を務めた。監督・コーチを務めた期間中、最も感銘を受けたことは、日本のサッカー選手たちのプロ意識だったという。毎回、練習を行う前、コーチや監督を目にした選手たちは、必ず丁寧にお辞儀をしてあいさつをするほか、時間を厳守し、コーチや監督が要求することを徹底的に行った。もちろん、練習の苦労を厭わない精神はいうまでもない。選手たちの生活は豊かだが、サッカーのフィールド上では、いずれの選手にも少しの甘えも見えなかったという。沈祥福氏は「当時、日本人の中国サッカーに対する敬意は本物だった。なぜなら当時の中国サッカーの水準は日本よりも高かったからだ。中国サッカーから学べるものを身につけるためなら、日本のサッカー選手は謙虚な態度で何でも聞いた。この態度と精神は非常に深く印象に残っている」と語る。
日本サッカーの「謙虚な態度で学ぶ」精神について、中国のサッカークラブ広州恒大の前身である旧広州太陽神の社長を務めた劉孝五氏も深く感じるところがあるという。「この精神によって、日本サッカーは初歩のレベルから大きく抜け出した。1980年代の日本サッカーは男子、女子のいずれも中国よりはるかに立ち遅れていた。このため、日本サッカーは積極的に欧米などの先進国サッカーを学ぶと同時に、アジアの近隣国である中国サッカーを学ぶこともおろそかにしなかった。中国サッカーの真髄を学ぶため、大金をはたいて中国の選手やコーチを招聘し、日本サッカーをより高めるために尽力させた。趙達裕氏、沈祥福氏、張桂紅氏、遅尚斌氏などいずれも日本でコーチや監督、選手を務めた経歴を持っている」と語った。
(2)硬化した体制が弊害をもたらす 遠回りしてばかりの中国サッカー
整備が遅れている中国サッカー市場において、現体制には明らかに明白な、まだ解決されていない2つの問題が存在している。それは、専門外の素人による管理と日和見主義だ。
中国サッカーを専門外の素人が管理している点について、1990年代に広州太陽神で活躍した中国サッカーの名選手・陳亦明氏も思うところがあるという。「日本サッカー協会は自分たちで物事を決められる。例えば少年サッカーチームの選手を先進国に派遣して学ばせるなど、自分たちで方向性や考え、資金などを確定すれば、あとはその通りに実行すればいいだけだ。しかし、中国サッカー協会は国家体育総局の指示に従わなければならない。しかも、管理する指導者たちは皆専門外だ。日本サッカー協会はいずれも専門的な人物が専門的なことを行っているが、中国サッカー協会をみると、専門家が業界のことを管理した王俊生時代を除くと、その後はすべて専門外の人物が業界のことを管理してきた。正直、専門外でも構わない。ただ、よく知らないことに下手に手出しするのではなく、管理や現場との橋渡し役に徹し、具体的なことは業界のことをよく知った人物に専門的な現場の作業を任せるべきだ」と問題点を鋭く指摘する。
このほかにも、試合に勝つことだけが重視される大会至上主義が横行する中国サッカーに対し、日本サッカーは決して功利的な考えを持たず、関連機関の責任者もまたサッカーというスポーツのレベルを高めたい一心で、各種事柄に全力で協力している。陳亦明氏はこの点についても、「これらのことはもともと条件さえ整えば実現できることだが、あらゆる事柄にはすべて根気が必要であり、目の前の利益だけを求めてはいけない。中国サッカーはなぜ日本に追い越され、さらにここまで大きく水をあけられたのか?この問題はこのことと関係ないわけではない」と自らの見解を端的かつ明確に述べた。サッカー界のプロ化と市場化に向け、この大きな弊害を除かなければ、中国サッカーと日本サッカーの距離はいっそう開くことになるだろう。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年6月26日