2021年に亡くなった「ハイブリッド米の父」と呼ばれた科学者・袁隆平氏の墓前にこのほど、珍しい参拝客が訪れた。その黒肌の男性は手に花を持ち、墓碑を長い間じっと見つめていた。彼の名はラコトソン・フィリベールで、マダガスカル農業畜産水産省の元事務局長だ。
フィリベール氏は、「袁隆平先生がいなければ、マダガスカルにハイブリッド米はなかった」と言い、アフリカから持ってきたハイブリッド米を贈り物として墓前に捧げた。
袁氏は生涯、マダガスカルの地を踏むことはなかったが、袁氏をはじめとする中国の科学者が育て上げたハイブリッド米は、山を越え海を渡り、遠くアフリカに伝わり、数えきれないほどの人々の暮らしを改善した。
この一幕について、中国外交部(外務省)の汪文斌報道官も世界に発信せずにはいられなかった。
2006年、袁氏のアフリカ支援ハイブリッド米チームがマダガスカルを訪れた。袁氏は旅立つチームに向かって、「現地でのハイブリッド米の推進ペースを加速してほしい」と念を押した。今や、ハイブリッド米はマダガスカルで1ヘクタール当たり7.5トンの生産量を実現し、それ以前の生産量の3倍になった。
2017年、マダガスカルは最高額紙幣である2万アリアリの紙幣に袁氏のハイブリッド米の図柄を採用し、中国の援助に対する感謝の意を表した。
ハイブリッド米の1粒1粒に、中国とアフリカの深く厚い友情が体現されている。袁氏の夢は大海原を渡り、はるか彼方の大地にしっかり根を張っている。(編集KS)
2023年5月12日、マダガスカルの首都アンタナナリボ近郊のマヒチにある中国国家ハイブリッド稲工程技術研究センターアフリカサブセンターで、現地の農民がハイブリッド米高生産モデル田んぼで稲刈りをする様子。(撮影・シタカ・ラジョナリソン)
「人民網日本語版」2023年7月20日