海辺の海洋養殖拠点に行くのは魚やエビを買うためではなく、「炭素」を買うため。不要品の回収はまるで宅配便を送る時のように、ワンタッチで手続きが完了する……複数のグリーン職業が台頭して、今や中国のグリーン発展に尽きることのない原動力を注入している。人民日報が報じた。
2015年、中国の人的資源・社会保障部(省)は一部の社会的に認知度が高く、グリーンの特徴が目立つ職業を「グリーン職業」に分類した。2022年の改訂版「国家職業分類大典」はグリーン職業134種類を確定し、職業全体の約8%を占めるようになった。
天津大沽化工股份有限公司の作業現場でエネルギー消費の状況を確認するカーボンシンク取引師の楊継偉さん。(画像提供は北方網)
機械音がごうごうと鳴り響く中、福建省福州市にある長楽力興機電設備器材有限公司では、回収された(電気自動車<EV>などの)動力用リチウムイオン電池が次々と製造ラインを流れていった。1時間余りで、有害物質を含む古い電池が適切に分解され、さまざまな金属材料が各種部品に生まれ変わり、新たに電気機械設備の一部となって組み立てられる。
これまで6年続けて力興公司をフォローしサービスを提供してきた田月英さんは、「5年前に比べ、この企業の付加価値額1万元(1元は約19.8円)あたりの炭素排出量は35%削減され、さらに削減する余地がある」と述べた。
田さんが従事するのは「炭素排出管理員」の仕事で、2022年にグリーン職業に組み込まれた。「現地の環境保護の各種基準に合致することを前提として、企業のために生産能力の最適化ブランを作成することが、炭素排出管理員の仕事の重点だ」と田さん。
2004年に創業された力興公司は、長年にわたり金属部品の製造と電気メッキ技術を主業務とし、エネルギー消費量が多く、汚染度が高かった。田さんはチームを率いて新たな構想を打ち出し、力興公司が元々持っていた技術的優位性を活用しながら、廃棄されたリチウムイオン電池を回収することで生まれた炭素の排出削減量を、企業内の他の生産プロセスに合理的に配置することで、炭素排出の相殺を目指した。
福建省福州市連江県定海湾にある海洋牧場で、漁民が養殖船を操縦して養殖作業を行なう様子。(撮影・王旺旺。画像提供は人民図片)
福建省福州市連江県にあるアワビの健康養殖モデル拠点では、連江県公共資源取引サービスセンターの責任者である黄斉明さんが拡声器を手に、「皆さん、ご覧下さい!海は毎年人類が排出した炭素の3分の1を吸収することができます。さらにコンブやアワビなど炭素を固定できる水産物を通じて炭素を回収し、連江の水産物の生産量は長年にわたり全国2位をキープし、カーボンシンク(炭素吸収源)の量が非常に大きいです。皆さんのご購入を歓迎いたします」と大きな声で説明していた。
昨年9月、中国初の県レベル海洋カーボンシンク取引サービスプラットフォームである福州(連江)カーボンシンク取引サービスプラットフォームが開設され、黄さんには「カーボンシンク取引師」の肩書が新たに加わった。福建億達食品有限公司の社長は取材に、「黄さんのサポートを受けて、1年間に7回のカーボンシンク取引が成立し、100万元近い収入があった」と述べた。
第三者による計算では、連江県の海水養殖から生まれたカーボンシンクの量は毎年約40万トンに上り、取引可能なカーボンシンクの経済的価値は9億6千万元にも達するという。
江西省贛州市の洪城巷コミュニティで、住民がスマート再生可能物資投入ステーションにごみを入れているところ。(撮影・胡江濤。画像提供は人民図片)
福建省厦門(アモイ)市の四季芳園団地の一角では、空色の回収箱にあるQRコードが目を引く。「このコードをスキャンすれば、プラットフォームですぐに私をつかまえることができます」と話すのは、同じくグリーン職業の再生物資回収選別技術者の張瑞炎さん(57)だ。「回収する物品と住所を記し、スマートフォンのボタンを押して手続きをすれば、宅配便を送るように不要品を売ることができる。スピーディで手軽だ」と張さん。
張さんは、「ここにあるのは昨日回収した物資で、毎日大体1トンになる。今日は関連会社の車両が来てリサイクル品製造工場まで運んでいくので、これから身近な日用品に生まれ変わる」と続けた。
統計によれば、厦門市はすでに都市部・農村部全体でごみの分別のフルカバーを実現し、市民のごみ分別実施率は97%以上、ごみのリサイクル率は43%以上となっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年3月3日