月探査機「嫦娥4号」による月裏側の表土の温度の原位置探査結果に基づき、中国地質大学(武漢)惑星科学研究所、澳門(マカオ)科技大学、中国空間技術研究院の研究者は、月の土壌に非常に高い断熱性があり、月面基地の表面断熱材にできることを発見した。科技日報が伝えた。
論文の連絡著者で、嫦娥4号月探査任務の中核科学者チームメンバーである中国地質大学(武漢)准教授の黄俊氏は、「人類が原位置探査データを利用し月裏側の土壌の熱力学的性質を明らかにしたのは初めてで、月の地質の歴史を認識し、月探査機を設計する上で重要な意義を持つ」と述べた。
嫦娥4号の着陸機の2本のスライドガイドレールの底部には、月の土壌に直接接触する4つの温度計が設置されており、900秒ごとに土壌の温度を測定している。今回の最新の研究は、嫦娥4号の着陸から3ヶ月目の月の土壌の温度データを採用した。測定結果によると、月の土壌の温度には日中は高く夜は低いという特徴がある。日の出後に温度が急上昇し、正午ごろに最高値に達し20℃を超える。正午を過ぎると下がり始め、夕方になると約マイナス170℃までに急低下する。夜になると温度が緩やかに下がることが分かった。
論文の筆頭著者で、中国地質大学(武漢)博士課程の肖瀟氏は、「日中の月の土壌の温度は主に太陽放射と周辺環境の熱放射の影響を受ける。夜間の温度変化は主に土壌の熱力学的影響を受ける」と述べた。
数値シミュレーションによると、嫦娥4号の着陸エリアの砂の平均粒径は約15ナノメートルで、髪の毛の約5分の1ほどだ。月の土壌の熱伝導能力は空気の10分の1、水の100分の1、鉄の1万分の1しかない。
黄氏は、「これは月面の真空条件下で土壌の熱伝導率が極めて低く、非常に優れた断熱層であることを物語っている。将来的に月の極地で月面基地を建設する際に、その表面を土壌で覆うことで有害な宇宙放射線を防ぐとともに、日中の極度な温度上昇と夜間の極度な温度低下を回避できる」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年9月8日